【アメリカンフットボール部】一つの場所へ導く者たち

「チームスポーツだからこそ個々の覚悟が必要」。主将・田邊一将(観4)を中心に今年度のスローガンを“覚悟”に決めたアメリカンフットボール部RUSHERS(ラッシャーズ)。TOP8(関東1部リーグの上位8校)で勝ち抜き、秋季リーグをあと一戦控えたチームの中心には、岩月朗(観4)と荒竹悠大(法4)の姿があった。

戦略で日本一へ

ひときわ大きな声を出しチームに合図を送る男がいる。岩月は選手でもマネージャーでもないAS(アナライジングスタッフ)。自分のチームに加え、対戦チームを分析し戦略を考える。試合中には、状況に合わせた最適なプレーを選択する役目を果たす。ASの中でもキッキングコーディネーターを務める岩月は、試合ではヘッドマイクを使い監督・スタッフとコミュニケーションを取る。そして、フィールドの外からチームにコールを送る。準備のスポーツと呼ばれるアメリカンフットボールにおいて必要不可欠な存在だ。
高校3年の時に急性硬膜下血腫になるまでは、選手としてアメフトに関わってきた。突然迎えた選手人生の終わりに「同期が活躍しているのがうらやましかった」。大学入学時には他競技を勧められるも、「アメフトと関わっていたい」という思いでラッシャーズに入部。選手経験と鋭い観察力を生かし、コミュニケーションを取りながら「勝つ」チームを目指している。自分が強くなることだけを考えていた選手時代に比べ、周りのことも考えられるようになった。点数で貢献できない分、どうすれば勝てるのかを徹底的に分析する。
「自分が組み立てたプレーで選手が動き、勝てることがやりがい」と誇らしげに語る。そんな岩月が「チームの宝」と称するのが荒竹だ。

得点で日本一へ

2018年度は、オール関東24選抜、TOP8においてラッシング記録2位、第2節でのプレイヤーオブザウィーク。数々のタイトルを総なめにしてきた荒竹がついにラストイヤーを迎えた。入部当初の目標は「名前で恐れられる選手になること」。幼いころから球技に触れ運動神経抜群の荒竹は高校でアメフトを始める。大学に入学するとすぐ、試合に出場。荒竹は、周りからの大きな期待もプラスに変える。「もっと期待してほしい。その方が力が出るので。」
今シーズンは総合的なレベルアップを図るため、体重増加に力を入れた。「太ったと言われるまで変わった」と話す。日焼けした肌と窮屈そうな服が彼の言葉を裏付ける。
順風満帆な荒竹だが未だに掴めないものがある。それは、「日本一のチームになること」。高校時代の最高成績は関東ベスト4。リベンジを果たすためには絶対に手を抜かない。
2019年度秋季リーグが開幕し、第2戦の対中央大学で荒竹は体調不良により欠場。しかし相手チームの観客席からは「2番(荒竹)いない」の声が上がった。目標としていた「脅威となる存在」になっていたのだ。
勝つチームを考える岩月とそのチームをプレーで引っ張る荒竹。それぞれがポジションでの役割を全うしてこそ初めてチームは強くなれる。ラッシャーズは見るものを熱くさせる。最終節は明日24日。刮目せよ。

(取材・文 林朋花)

試合前、士気を高める選手たち

★試合日程★
11月27日 対法大@横浜スタジアム
13時45分kick off

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