【スケート部フィギュア部門】5人が悲願のインカレ初出場へ

◆平成30年度第12回東日本学生フィギュアスケート選手権◆

11月9日〜11日 東大和スケートセンター

11月9日から11日にかけて行われた東日本学生フィギュア選手権大会。全日本学生フィギュア選手権大会出場がかかった重要な大会だ。立大からは3級から7級までの選手たちが出場。選手一人一人が各々の目標に向かって全力を尽くした結果となった。

◆6級女子◆

島田(営2)

秋季交流戦に続き、2大会連続ノーミスの演技で拍手喝采を浴びた島田。藤岡監督から「立教のドクターエックス」という称号を与えられるほど、ストイックで完璧な彼女。しかし、実はメンタル面が課題だった。昨年は「自分と他人を比べちゃって、あの人に勝たなきゃと思って」と、自分のペースを掴むことが出来ず36位。インカレ出場を逃した。

この1年間、悔しさを噛み締め、リベンジに燃えていた。命運を分けたのは6月の曲変更。今シーズンは新しいプログラム『リバーダンス』で挑む予定だった。細かいステップと、エレメンツを後半に組み込んだ難易度の高いプログラム。しかし、高校生の時に使用していた『マラゲーニャ』の方が曲調やエレメンツの配分バランスが自分に合うため曲を変えるという思い切った決断をした。インカレ出場への執念の表れだった。

結果は作戦勝ち。冒頭のダブルルッツ+ダブルトウループをクリーンで降りると、ダブルフリップ+シングルオイラー+ダブルサルコウのコンビネーションも難なく着氷。フライングキャメルからのコンビネーションスピンは8回転回り切り、レベルアップを狙った。見せ場である島田のステップシークエンス。音を捉えながらのターンと振り付けでしっかりとジャッジにアピールした。バックエントランスからのキャメルのコンビネーションスピンを決めると、最後は力強く右手を振り上げフィニッシュ。「自分に勝つように、自分に負けないようにしたら、メンタル少しは強くなったかな」。15位と飛躍的な成長を遂げ、インカレ出場を決めた。

「攻めは本戦で」。インカレでは、今シーズンはプログラムに組み込んでいなかったダブルアクセルとトリプルサルコウに挑戦する予定だ。彼女の“絶対に失敗しない”演技を今度はインカレという大舞台で見せて欲しい。

◆5級女子◆

山口(観1)

緊張しながらも堂々とリンクに降り立った山口。「絶対に決めたかった」という冒頭のダブルサルコウ。途中で体が解けてしまい、両足着氷となってしまう。ダブルフリップ+ダブルトウループは綺麗に降りたものの、その後のダブルルッツではステップアウト。いつもの調子が出ない。後半に向けて流れを切り替えたいところ。続くコンビネーションスピンはポジションも回転数も申し分ない美しいスピン。曲の壮大さを引き立てた。そして余裕のあるダブルループをクリーンで決めると、フライングシットも見事着氷。その後、序盤のミスを引きずってかダブルルッツで転倒してしまったが、チョクトーからのシングルアクセルという難易度の高いジャンプをしっかり決めた。演技後半のステップシークエンスは山口の見せ所。柔らかな曲調に合った伸びのあるスケーティングでプログラムの世界観に引き込んでいく。最後はレイバックとヘアカッターのコンビネーションスピンで演技をしめた。

試合後、納得のいく演技ができず涙を流した山口。インカレでは「優美でたくましい女性を演じます」と話した。可憐でありながら、心に熱い思いを抱いて滑る彼女の姿はまさに『江』。インカレでは悔し涙ではなく、嬉し涙を流すことだろう。

澤野(済3)

立大メンバーから「がんば!」の声援を受け、笑顔でスタート位置につく。その笑顔の裏には、怪我と向き合い続けた厳しい道のりがあった。

脚の怪我により1年以上練習から離れていた澤野。ジャンプ練習を再開したのは大会直前10月だった。脚への負担も考え、プログラムにジャンプを組み込まないという手もあった。しかし、「絶対にシャンプを入れてじゃないと試合には出たくない」。幼い頃から続けてきたスケートに対する強い思いや、5級スケーターとしてのプライドが許さなかった。

冒頭のダブルフリップ+ダブルトウループのコンビネーションをクリーンで決め、演技の流れを掴むと、続くダブルルッツ、ダブルループも難なく着氷。今回初めてボーカル入りの明るい曲に挑戦した澤野。「常にニコニコして演技するように心掛けていた」と、体力面が厳しくなる後半のステップシークエンスも笑顔で滑り切った。最後のジャンプ、ダブルループ+シングルアクセルは耐えきれず転倒となってしまったものの、プログラムを上手くまとめ上げた。

東インカレまで「突貫工事みたい」だったと澤野は振り返る。「今できることはやり切った」。結果は12位。怪我という壁を乗り越え、見事インカレ出場の切符を掴み取った。

◆3級女子◆

小泉(文3)

大歓声の中、氷に良く映えた青い衣装でリンクに降り立った小泉(文3)。「また同じ悔しい思いをしたくない」。この1年、東インカレに懸けてきたというほど並々ならぬ思いで今大会に臨んだ。まず、軸のブレないレイバックスピンを確実に決める。スムーズな流れのまま、ダブルサルコウからシングルサルコウに変更したものの、コンビネーションジャンプを見事に着氷。この後も全てのジャンプとコンビネーションスピンを完璧に決める。最後にはガッツポーズが飛び出るほど自分でも納得の演技でフィニッシュ。自己最高記録の三級女子2位という最高記録をマークし、ローカル大会で場数を踏んできた彼女の集大成となった。

岩崎(現1)

緊張した面持ちでリンクに降りたつ岩崎(現1)。伸びやかなスケーティングと深いエッジワークで観客を引きつけ、シングルアクセルをクリーンで着氷。続いてのジャンプはダブルトゥーループ+ダブルトゥーループのコンビネーションジャンプの予定だったが、バランスを崩してしまう。そして、フライングシットでも着氷ミスでノーカウントとなった。しかし、スパイラルなどのコレオシークエンスで観客を魅了していく。岩崎自身も気に入っているという背中で魅せるアウトイーグルからのコンビネーションジャンプは綺麗に決まり、レイバックスピンからのヘアカッターのコンビネーションスピンのポジションも本人満足の出来となった。今回ノーカウントとなったスピン2つを課題として残すものの、三級女子4位という好成績を残して今大会の演技を終えた。

立大からは5人がインカレ初出場を決めた。大きな期待とプレッシャーを背負いながら今日も氷上へ。インカレという大舞台で彼女たちのビッグスマイルが溢れることを期待したい。(12月20日 大上文・富田早紀)

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