【ホッケー部男子】格上相手に意地見せたラスト富士見。主将・中田、最後の勇姿がそこにあった

◆第59回同立ホッケー定期戦◆

12月15日 対同大 立大富士見総合グラウンド

毎年恒例の同立定期戦。立大にとっては入れ替え戦以来、約3週間ぶりの実践だった。しかし選手たちはブランクの影響を見せず、あと一歩のところまで走り続けた。主将・中田(文4)はこれが正真正銘最後の試合。内容こそ惜敗だったが、10年間のホッケー人生を笑顔で締めくくった。

中田世代としての最後の円陣【撮影・渡邊大樹】

寒空の中、立大のセンターパスから試合は始まった。序盤から立大は攻め上がるも、敵陣に入るとなかなかボールが前に通らない。そんな中、開始5分に同大がこの試合初となるシュートを打ち込むも、GK#21金(法2)がファインセーブを見せる。だが、こぼれ球を押し込まれ、先制点を献上してしまう。追いつきたい立大は第1Q終了間際、左サイドから#11平澤(コ2)が駆け上がり、シュート。ボールは相手GKをすり抜けて同点ゴールとなった。第2Qは1度PC(ペナルティコーナー)を獲得するも、得点には結びつけることができず、前半を同点で終える。

同点弾を放った平澤(写真右)【撮影・渡邊大樹】

第3Q序盤、勝ち越しチャンスが訪れる。中盤からのロングパスにサークル内にいた中田がうまく反応。「入ったと思った」。しかしボールは相手GKに弾かれ、勝ち越し弾とはならず、悔しさを滲ませた。10分、立大はPCを獲得する。そのPCから平澤が再びシュートを打ち込む。ボールは枠内に。これで勝ち越しとなるゴールだと誰もが思ったが、審判団協議の結果ノーゴールとなった。PC時はボールを浮かしてシュートしてはいけないというルールがあるためである。結局1-1のまま、勝負は終盤へ。

第4Q、試合が動く。カウンターから同大攻撃陣が攻める。直前まで攻めていたため立大守備陣はゴール前に後半から出場した守護神・浅野(社3)しかいない。このピンチから放たれたシュートを浅野が見事に防いだ。しかし、弾いたこぼれ球を押し込まれ、勝ち越しゴールを許した。その後も1点を失い、2点差となる。しかし立大イレブンは足を緩めず走り続けた。試合終了間際、左サイドから平澤がパスを送り、武田(文3)がうまく反応し、ゴール。直後に試合が終了し、同点、勝ち越しとはならなかったが最後まで諦めずに駆け抜けた。

「0−5くらいで負けると思ってた」(中田)。同じく2部の上位校である同大だが、関西リーグは関東に比べてレベルが高いことで知られているため、大きく差の開く試合展開が予想されていた。しかし箱を開けてみれば1点差での惜敗。格上相手と十分に戦いあえることを証明し、来季への可能性を示した。

中田は来年度以降のキーマンに1年生の栗田(文1)を挙げた。「彼がどのポジションになるかによってチームの行く方向も左右されると思う」(中田)。栗田は埼玉の強豪・飯能南高出身。インターハイに14年連続で出場中の強豪校だ。彼もまた、かつての中田と同じく、1年生では唯一のホッケー経験者である。今まで培ってきた戦術、ノウハウを生かし、チームを頂へと繋げる架け橋となるだろう。

「自分たちが後輩たちに与えたものをしっかり還元して、また次の世代にやっていってほしい」。これまで主将、または先輩として後輩たちに背中で示してきた。その思いは1部昇格という夢に向かう後輩たちにしっかりと受け継がれた。この試合、中田は普段の中盤、MFではなく、かつての定位置であった右サイドのFWとして出場した。最近ではあまり打っていなかったシュートも打ち、満足した様子だった。男はかつての定位置にスティックを置き、笑顔でフィールドを去っていった。夢は次世代へ。

中田が来年度以降のキーマンに挙げた栗田【撮影・渡邊大樹】

笑顔をみせる中田【撮影・渡邊大樹】

(12月20日 渡邊大樹)

◇コメント◇
主将・中田光星
ー今日一日を振り返って
やっぱり富士見でできる最後の試合であり、最後の一日なので楽しんで終わりたいなという思いをもって臨みました

ー同大はどうだったか
強かったですね。やっぱり。チームとしてはそこまで強くはないのかなというイメージでしたけど。やっぱり関西の方がホッケーのレベルは高いので個人の能力とかがすごい高かったかなと思います

ー同大のプレーで吸収したいところはあったか
そこは個人技の部分ですね。スキルが本当に素晴らしくて自分たちがほしいトラップのリストだったり、抜く力はビデオを見て吸収していかないとなと思います。

ー立大のプレーはどうだったか
よかったですよ。正直オフ入っちゃってて、3週間くらい練習という練習はしてないんですけど、それにしてはしっかりチームとしてよくできてたかなと思います。こんなに競ると思わなくて(笑)。いい試合っちゃいい試合でしたね。

ー試合前は点差が開くと予想していたということか
そうですね。本当に5ー0とかで負けると思ってましたし(笑)。

ー予想以上に奮闘したということか
そうですね。自分の中では自分が奮闘したというよりか皆がよくやってくれたかなと。

ー自身のプレーについて
今回自分は中盤ではなくて右のフォワードで出させてもらってて。というのは自分1,2年生のときに右のウイングで出てたので、最後はここで終わりたいなと思ってて。しっかりシュートも打てましたし、ディフェンスもわりとできたのでよかったと思います。

ー4年間を振り返って
1年生のとき、最初の試合で途中から出させてもらって最初のファーストタッチがゴールにつながったというところからスタートして、最後のシーズンはシュートもあまり打てない中盤というポジションでチームのゲームメーカーとしてやってきましたけど、いろいろなところを経験できましたし、どんどん学年を追うごとに人を見る力っていうのがプレーの中でも組織をまとめるという立場のなかでも養えたかなという風に思います。

ーホッケー歴は
中学からですね。

ー10年間を振り返って
中学のときは全国大会でベスト8に入るくらいの強豪校ですごい練習とかも厳しかったですし。っていうなかで高校ではホッケー部を作って自分で一からいろいろやらなきゃいけないっていうところで。大学生活は一つの組織のなかに混じって、しかもそれがほとんど初心者の集団で。自分は経験者という立場からどのようにやれるのかという中でのプレー。全部境遇が違くて、ひとつひとつの時代時代がいろいろ刺激的で、自分の中ではすごく成長できた10年間かなと思います。

ー主将としてこころがけたこと
生活面というか、心技体でいうか。心でいうとやっぱり自分たちはわりとふわふわしちゃってて。春先は実際にふわふわしちゃってて結果も残せないなかで、しっかりチームとしてのベクトルを合わせて勝つということにこだわってプレーする。方向性っていうのをみんなに浸透させたいと心がけました。技術の部分ではやっぱり自分が一番みんなに背中を見せてプレーしなきゃいけない、一番引っ張っていかなきゃいけない存在として四年生はやっぱり自主練とかもしましたし、実際に点を取ったりドリブルしたりというとこで技術で支えていくところを徹底して。体力の部分では、自分は攻守ともに動かないといけないポジションなので、体力という部分では空いている時間に走ったりして体力をつけていました。

ー今後のホッケー部男子に望むこと
一部昇格ですね。やっぱり自分たちも成し遂げられなかったですし、先代の先輩たちも成し遂げられなかったので、ここはひとつ目指してほしいですね。

ー来年のキーマンは
いっぱいいるけど…来年のキーマンか…。やっぱり栗田くんじゃないですか。彼がどのポジションになるか分からないんですけど、どのポジションになるかによってチームの行く方向も左右されると思いますし。やっぱり彼がキーマンなのかなと思います。

ー後輩たちに向けて
やっぱり自分たちの代が残した意志というものをしっかり受け継いで、それを新しく変えてもいいですし、そのまま受け継いでもいいんですけど。やっぱりその自分たちが後輩たちに与えたものをしっかり還元してまた次の世代にっていうところでやっていってほしいかなと思います

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