【野球部】「進化」秋季リーグ直前インタビューVol.9 溝口智成監督

◇溝口 智成監督◇

―春リーグを振り返っての感想は
去年春秋と優勝争いをしてダメだったので、今年のチームで何とか春に優勝したいという思いを持ってやったのですが、またしても同じ結果になったということで、私も含めて選手もチームも悔しかった、惜しかったという感情ではなく「またやれなかった」という怒りや自分たちへの憤りを感じたシーズンでした。

―春リーグで見えた課題は
投手面では勝負所での精度の低さです。ピンチの時にいかにヒットになりにくい勝利を呼び込める投球ができるかといったところです。攻撃面ではチャンスで勝負を決めるあと1本がどの試合でも出なかったので苦労しました。両方含めて、ピンチ、チャンスでの力の出し方や思い切りの持ち方、開き直りの仕方です。きつい場面で本当の力を発揮するための力をつけることを課題として感じました。

―春リーグで得た収穫は
ピッチャーでは荘司(社4=新潟明訓)が大分独り立ちをして、まだ2勝とは言え先発として存在を確立してきたことです。野手は少ないチャンス、ヒットの中であってもつないで得点を上げていけるようなつながりはできたと思います。

―今年の夏のキャンプはいかがでしたか
課題を克服することを念頭に行いましたが3年ぶりにキャンプができたので、主力が練習できる環境を作れました。

荘司にボールを渡す溝口監督

―リーグ戦に向けて監督が大事だと思われることは
リーグ戦直後から最近までは春にできなかったことや課題を潰すために厳しくやってきました。それを潰し切るというのも大事ですが、ゲームでは課題を感じながらやっても仕方がない部分もあるので、思い切りの良さや3ヶ月間積んできたことを信じて存分にやる、力をどう発揮するかも大事です。足らないものを得るというより、得てきたものを発揮するにはどうしたら良いかという時期に来ているかなと思います。

―投手、野手それぞれで状態が良いと感じる選手は
そこまで状態がすごく良いという選手はいないです。バッターであげると、道原(法4=駒大苫小牧)の状態はある程度良いです。ピッチャーで言うと、池田(コ3=智辯和歌山)です。

―池田選手は春に故障があったが、秋に向けて状態は上がってきているか
春も大分上がっていたのですが、初戦で怪我をしてほとんど働けなかったのでその悔しさや、荘司の活躍を見て相当本人も想いを持ってやってくれているので、上がってきていると思います。

戦況を見守る溝口監督

 

―4年生は秋季リーグがラストシーズンになるが、どのような世代だったか
今の4年生は3年4年と2年間出場し続けた主力が多いです。2年連続で優勝を目の前で逃してきた負けている経験の多い4年生でもあるので、優勝に対しての気持ちは特に強いのではないかと思います。

―秋季リーグの目標は
もちろん優勝です。それしかないです。

―秋季リーグでチームとして他大学に負けたくない部分は
とにかく順位で負けたくないです。優勝、最終順位がどこよりも一番上であることが目標です。

―監督が徹底したいことは
色々ありますが、雰囲気的なことで言うと「優勝、優勝」と繰り返すと選手が捉われすぎてしまって本来持っている力が出なかったり、プレーがこじんまりとしてしまうと元も子もないので。執念を持ってやるのですが、とにかく選手が自分たちを信じて思い切ってやるということに関しては、負けていても勝っていても、前半でも中盤でも後半でも、強く拘っていきたいなと思います。

ー監督がエースに求めるピッチングは
ゲームを作ることです。具体的には、できるだけ自分が投げてリードを許さず後半まで有利に持っていくということです。最近は継投をメインでやってきているので、そのような感じではないですが、本来先発ピッチャーの役割として7〜8回まで立ち続けてもらうという期待を持っています。

―ピンチを抑える鍵となるリリーフピッチャーは
沖(法2=磐城)と春に悔しい想いをした宮(営4=國學院栃木)の2人です。

―沖投手は春リーグで多様な登板となったが、起用法のイメージは
春の収穫のところで言い忘れましたが、沖が出てきたのは収穫です。池田が怪我してしまった代わりに、沖を使わざるを得なかったというのが最初の実情なのですが、その中でも相当やってくれたのは収穫でした。沖には場合によっては先発なども無いことは無いのですが、中継ぎやクローザーとして中後半をしっかり任せられる投手として期待しています。

―宮投手の現在の状態は
中々調子が上がってこなくて自分の投げたいボールが投げられず、制球が定まらない時期が続いているのですが、それも少し抜けつつあるので本来彼の持っている球威、伸びのあるストレートが戻れば春のようなことはないと思っています。ただその時のでき具合や状況を見てしっかり判断しながら使っていきたいなと思います。

ベンチへ戻る溝口監督

―野手に関して、監督の中ではスタメンは決定しているのか
大体は決まっています。ただ調子や(相手の)右投手・左投手どちらかなどによって1〜2人どちらを使おうなどはあります。

―一番ポジション争いが激しかったのは
外野の一角です。宮﨑(コ4=大阪桐蔭)、道原はレギュラーだと思っていますが、あと1つは1年生、3年生、4年生の4人くらいで争ってきています。後はサードです。西川晋(コ3=智辯和歌山)や新戦力の鬼頭(文2=横浜)、佐藤(コ4=福岡大大濠)、ショートも務める柴田恭(コ2=東明館)などが争ってきました。

―春はあと1本が出なかったが、秋リーグでの得点の鍵となる部分は
チャンスがどこに回ってくるかは分からないですが、「ここで1本」と思いすぎると出ないのが野球なので、チャンスに巡ってきた選手には思い切ってやってほしいです。そうは言っても野球は上位クリーンアップにチャンスが回ると言われているので、そういう意味では山田(コ4=大阪桐蔭)ですね。山田がポイントゲッターにならないといけないと思っています。逆に言うと山田が打点を稼げるようになると前後が楽になりますし、展開としても非常に良くなると思うので、打点やポイントとなる試合での爆発できる有効打を期待します。

―打撃面以外で主将の山田選手に監督が求めることは
やはりキャプテンですし、チームの雰囲気はキャプテンに関わると僕は思っているので、山田の表情や話す内容、どのような面持ちで練習や試合に出ているかはいつも見ていますし、そこに関しては「責任を持ってやれ」とよく言っています。

―山田選手の最近の状態や雰囲気作りは
キャプテンとしては言葉や立ち振る舞いは大分キャプテンらしくなってきたと思います。ただ状態がまだまだかなと思っていて、心配ないという状況でリーグ戦に入れる訳ではなさそうなので、調整していきたいなという感じです。

大学代表と高校代表の壮行試合三塁コーチを務める溝口監督

―監督が理想とする試合展開は
やはりそこまで打てないと思っています。ですからピッチャーが安定的に2点、もしくは3点以内に抑えるというのが大前提で、それに競りながらうまく噛み合えば3点差とかで勝てると思います。なので4ー1とか3-1とかで勝つのが理想ですし、勝つとしても僅差で勝てたら御の字で、もっとギリギリ1点だったり、引き分けやさっきまで負けていたが、という展開の中で、勝ち星を手にしていくのを理想ではないですが想定しています。

―夏の期間に台頭した新しい戦力は
1年生外野手の鈴木唯(コ1=東邦)は相当頑張っていましたし、サードを争っている鬼頭や外野の安藤碧(社3=明石商業)などは、春には計算していなかったので出てきたと思います。

―最近のOP戦では畑(営3=浦和学院)選手も出場されているが
畑も名前を上げて良い選手かもしれないです。元々バッティングは目を見張るものがありましたが、中々それを体現できず壁にぶつかっていた時間が長かったのですが、ようやく良い感じになってきているので、リーグ戦でも使ってみたいと思えるくらいになってきています。

―一番重要だと思われる対戦校は
全部です。最終5校と戦っての勝ち点で決まるし、同率であれば勝率で決まるので、大事でない試合は1つもないです。優勝争いが見えてくるのは中盤後半ですが、そこでどういう位置にいるかは開幕から全て関わってきますし、自分たちが戦っていない他校同士の戦いでどちらに勝利がついているのかなど、全てが優勝に対しては最重要です。

―優勝に向けてのキーマンは
ピッチャーでいうと荘司です。これだけ注目されているし、色々な代表にも選ばれて重要な役割を任されているピッチャーで他校からのマークも相当強いので。そういう存在になったのも彼は初めてだと思うので、それをどう超えていくか、どう先に進化していくということなので、春のままの2勝では優勝できませんし、荘司が春以上の働きをやるというのは大前提になってくると思います。野手はやはり山田です。山田がチームを勝利に導く働きを何回かしてもらうことが必要になってきます。

―秋季リーグへ向けた意気込みは
「良くやった」とか「惜しかった」とか「もうちょっとだった」という言葉を貰わないようにやりたいと思います。3季連続で目の前で逃している優勝をこの秋は何とか手にして応援してくださっている皆様と共に喜べたらなと思っています。

―プロ志望届を出した4選手へ
彼らの人生で彼らがプロでやりたいという意思表示をしたわけですから、自分が掲げた希望に向かってこの秋は評価されるリーグ戦であるというのは間違いない事実ですので、その中で自分の力を発揮してほしいと思いますし、中々それを頭の中から外してプレーするのは難しいと思うので、それを意識しながらドラフトされることを目標にしながらリーグ戦でどのようにそれぞれのパフォーマンスを上げられるかと言ったところをサポートしていきたいと思います。

(取材・大内貴敬、編集・山岡雄一郎 この取材は9月9日、オンラインで行われました。)

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溝口 智成(みぞぐち・ともなり)
神奈川県出身。54歳。【選手歴】湘南高→立大→リクルート
【指導者歴】立大
立大所属時は一塁手。3年時には優勝に貢献し、2度のベストナインを獲得した。2014年から立大の監督を務め、2017年に六大学優勝、全日本大学野球選手権では59年ぶりの日本一へ導いた。大学代表のコーチも務めている。

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