【ラグビー部】創部史上初「学生コーチ」という生き方 後編

 

2020-2021シーズンより、対抗戦Aグループに昇格し、しのぎを削っている立大ラグビー部。創部史上初となる学生コーチという立場でチームを支え続けていたのが相田向陽(営4=立教新座)だ。彼の視点から学生コーチという生き方とラグビー部の見方についてお話を伺った。後編では、ラストイヤーを振り返っていただいた。

(インタビューはZOOMにて行いました。取材日:12月7日)

 

―――最終学年の意気込み

チームとしては対抗戦3勝という目標を掲げていたので、自分自身やるべきことは全てやり尽くすそうと。去年以上に自分自身では成長していかないといけないなと思っていました。

 

―――春期大会の振り返り

東洋大と専大と関東学大と試合をしたんだけれど、なかなか難しかったです。今年からヘッドコーチが新しい方になったり、去年スタメンで出ていた4年生が抜けてしまったりして。最初は かみ合わないところがありました。新しいヘッドコーチの方が、どんな考えを持っているかということをしっかり知るために、練習前後でコミュニケーションを取ったりだとか、ラグビー以外のことも話したりして考え方のすり寄せというところを意識してやりました。

 

―――チームビルディングをしていく中で、学生コーチとしてどのようなアプローチをしましたか。

選手とコーチ陣の架け橋というところです。選手が持っている意見を自分がヘッドコーチに伝えたり、ヘッドコーチが持ってることを自分が選手に伝えたりというところでずれを埋めていきました。

 

―――部内で途中まで学生コーチは1人。立場の難しさや孤独を感じることはありませんか。

最初はコーチとしての距離感というのに戸惑いを感じることもありましたが、選手から積極的に絡みに来てくれるというのがうれしいです。俺自身、考え方が変わってきて。学生でありながらコーチ。学生目線で性格や現状というのをリアルに受け止められるのが学生コーチの特権だから。ある所は積極的に。あるところは厳しくというのが大事であって、今はそこまで感じることはないです。

 

―――いつごろから考えの変化が

明確な時期をはっきりと言うと難しいんだけれど、大学2年生の時からヘッドコーチの方が平日も練習に来られるようになって。練習の負担というところが少し軽減されたと思います。練習を作らなきゃいけないというところから少し余裕が出ました。

試合開始前選手を送り出す相田

―――特に印象に残る公式戦

まずはジュニア選手権の日体大。(2021年11月14日)その前の週が日体大との対抗戦は絶対に落とせないでした。試合準備をかなり取り組んで試合に臨んだのに、苦しい状況に追い込まれました。同じ相手とまた試合しなければならないというところで、4年生がこのままじゃいけないとプライドを見せてくれました。練習の時から4年生のプライドを見せようという話をしているのを見ていたから、試合始まる前から違っていたかな。

 

もう1試合は秩父宮ラグビー場で行われた筑波大戦(2021年11月20日)で。結果的には負けてはしまったけれど、一時逆転を格上に対して秩父宮という会場でできたというのは立大にとっては大きな収穫となりました。一方でコーチとしては勝ちきることができなかったということに対して責任を感じた試合でもありました。

 

―――筑波大戦ではラストプレーWTB舟橋さん(済4)のトライでしたが?

舟橋は去年までそんなに試合出ていなかったんだけど、だから一緒に仮想チームを作っていて。今そいつが不動のレギュラーとしてずっと試合に出続けていて独走トライを奪ったというのはコーチとしても同期としてもうれしいです。

筑波大戦同期舟橋のトライ

 

―――対抗戦を終えて

対抗戦3勝というものを掲げていたにも関わらず、コーチとしては目標達成をさせてあげることができなかった、そこに責任を感じる部分があります。一方で早大に始まり、明大、帝京大、筑波大…と 試合を重ねていくにつれて少しずつだけれど確実に成長してきたという実感もあります。

 

―――入替戦は毎年のように対戦している成蹊大。学生コーチとしては選手にどんなアプローチや声がけなどして準備していましたか。

 

過去に苦い経験を何度もしてきたチームだったので、個人的にはチャレンジャーとして臨む試合でした。また、ノリ(麻生主将、済4=桐蔭学園)をはじめ多くの4年生がメンバーを外れたこともあり、メンバーには試合に出ることができない選手・スタッフの分まで戦い抜いてほしい気持ちがありました。

そのため、試合前のアップの中で「結果を出すことができるのはここにいる23人しかいない。だからこそ、23分の1の責任をもって、楽しく、機嫌よく、立教らしさを見せ続けて、最後まで成蹊を圧倒し続けよう」と伝えました。

 

―――入替戦は勝利で終えましたが、勝利の瞬間どんな気持ちですか。

勝利への喜びよりも、正直、後輩たちに対抗戦Aの舞台を残せた安堵感の方が強かったです。また、グラウンドに出ている選手だけではなく、最後まで立教の勝利を信じ続けてくれた、メンバー外の選手・スタッフ・OB、OGの方、応援し続けてくれた全ての人に対する感謝の気持ちがこみ上げてきました。

 

―――引退を迎えて、最後に思うことは何ですか。

最後までとことんラグビーを続けて良かったなと。度重なるケガや、中高で一緒にプレーをした仲間が他の部活に流れてしまうなど、19年間のラグビー人生の各局面で苦しいこと、辛いことは沢山ありましたが、それ以上にかけがえのない仲間や、ラグビーに真摯に向き合ったからこそ出来た経験を得ることができ、今までの自分の選択は間違いじゃなかったと感じました。

また、自分がここまでラグビーを続けることができたのは、各カテゴリーで出会った仲間、指導してくれた監督・コーチ・先生方、そして選手を辞めても自分を信じ、サポートしてくれた家族があってのことだと感じます。これからは、サポートしてくださった全ての人に恩返しをすると同時に、一OBとしてこれからの立教ラグビーを陰ながら応援していきたいと思います。

(12月23日 取材・編集 矢作 峰士)

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