【テニス部女子】山田悠理 大会10日前の悲劇 「2ヶ月前の後悔よりも、2ヶ月後の楽しみを」

2年次から予選スタートにもかかわらず関東大会ベスト32、初出場でもインカレベスト32と上昇気流真っ只中の山田(営3)。3年生として初の公式戦は関東学生テニストーナメント(通称:春関)。ダブルスは1次予選から、シングルスはシードと今大会も活躍が期待されていた。

苦渋の決断

4月9日、ダブルス1次予選の10日前に悲劇は起こった。練習中に左足を捻挫。突然の出来事に立ち上がることもできず、その日は早退を余儀なくされた。診断の結果、医師からは「6月の中旬には万全な状態になる」と言われたが、1次予選は10日後。必死にリハビリを続けるも、欠場することを決めた。これまでダブルスの結果が振るわなかったからこそ、意気込んでいた今大会。さらにはペアへの申し訳なさも重なり、直前での欠場は苦渋の決断となった。

成長を実感する毎日

けがをしてから1週間は普段通り歩くこともできず、テニスができるまではかなり時間を有する状態だった。そこからさらに1週間経ち、ランニングは厳しいが歩く速度は通常通りになるまで回復。5月には部活に復帰し、皆と同じメニューをこなせるわけではないが、リハビリ中に感じていた孤独感は解消された。徐々にできることが増える嬉しさと、テニスができる楽しさに気づき、「毎日進歩してるのが楽しい」と少しずつ気持ちは前を向き始めた。

練習中の様子

8割で挑んだ大勝負

5月28日、インカレ本戦出場権がかかった春関シングルス2回戦。シード権を獲得していた山田にとっては、2次予選から上がってきた塚田(筑大)が初戦の相手となった。第1セットは4−6と粘りを見せるものの、第2セットは2−6で悔しい結果に。
けがについて「シングルスには出られるが、回復は8割」と事前に医師から話を受けていた。試合中は左足を庇いながらなんとか食らいついたが、その分右足への負担も大きくなりつってしまう。「動けないのに緊張で長いラリーをしてしまった」と試合を振り返った。

失ったものと見えたもの

人生で最大のけがは多くのものを奪った。右肩上がりだったからこそ生まれた目標や期待は一瞬で打ち砕かれ、不甲斐なさや後悔が彼女を襲った。だが、けがを通して見えてきたものや感じたことがある。自分がどんな状況でもサポートし、いつでも応援してくれる仲間の大切さ、心強さを今まで以上に実感することができた。
さらに、2年次での活躍があったからこそ今大会はシードで出場でき、インカレ予選への切符を手にすることができた。本戦を逃し、万全な状態で挑むことができなかった悔しさはあるが、今までの努力が確実に今へとつながっている。

笑顔を向ける部員たち

次なる目標は8月に開催予定のインカレ予選。6月中旬には完治すると言われているが、「今の状態だといつよくなるのか不安」と顔を曇らせる。
しかし、春関シングルス翌日からオフを取ることなく練習に参加。「2ヶ月前を後悔するよりも、2ヶ月後の楽しみを」と笑顔で前を見据える。2ヶ月後にはインカレ、その後には2年ぶりのリーグ戦や夏関が控えている。再び上昇気流に乗るためにスタートラインに立った彼女の、復活劇が始まる。

春関シングルス終了後、笑顔で会話をする選手たち

(6月3日・藤部千花)

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