【ヨット部】最後の切符を掴み取った!スナイプ級、4年ぶりの舞台へ

◆第86回関東学生ヨット選手権大会 決勝◆

10月4日~10月6日 神奈川・葉山港

「西宮」。立大ヨット部の合宿所には大きな二文字の横断幕がかかっている。兵庫県西宮市で行われる全日本学生ヨット選手権への出場を第一としているためだ。出場条件は今大会で8位以内に入ること。第6レースまで9位であったスナイプ級は最終第7レースで巻き返し、見事8位で大会を終えた。この瞬間、全日本選手権への進出が決定。「キツイことも辛い事も全て報われた気がする」。スナイプリーダー・ムルター(済4)の言葉が嬉しさを物語っていた。

表彰式後、胴上げされるムルター

初日は強風のため1レースも行うことができず、2日目から第1レースが始まった。風は微風と中風が入り混る環境。第1レースの順位は15大学中11位。まずまずのスタートであったが、3艇のスナイプ艇が順位を上げ、第4レースまで消化して8位で2日目を終える。特にムルター・中村(文4)/河野(文4)ペアは第2レースの時点では46位であったが第4レース終了時には7位にまで順位を上げた。
そして勝負の最終日・3日目。風が強いサバイバルコンディションの中、第5レースが始まった。9位の法大が追い上げを見せる。このレースで逆転を許し、立大が5点ビハインドで9位に入れ替わるも、続く第6レースで負けじと法大艇に食らいつき、同点とする。


ムルター(左)・中村ペア

若泉(左)・太田(社3)ペア

ここで立大にハプニングが起きる。1年生ながら素晴らしい活躍を見せてきたスキッパー・沖本(理1)が膝を負傷。交代を余儀なくされた。この窮地にエースが立ち上がる。腰の怪我で戦列を離れていた若泉(観4)が沖本に代わり、第7レースから出場。「今日出るために腰自体も調整してきていた」。久しぶりのレースであったが、勝負勘は冴えていた。20位から順位を5つ上げ、15位につけて他の2艇の健闘を信じて待つ。若泉の信じたとおり、他の2艇は順位を落とすことなくフィニッシュ。法大を2点突き放し、再び総合8位に返り咲いた。その後APA旗が上がり、レースは終了。何とか8位で終えて、4年ぶりに全日本選手権への出場権を獲得した。今の現役部員は誰も味わったことのない海への航海権を得たのだ。「嬉しいなーっていうのしかない」。怪我で船に乗れない悔しい日々が続いた若泉にとって最高の結果であった。「全日本でも実力のあるチームっていうのを全国に認識させるのと、来年以降も強いチームであってほしいという僕の願いがあるので後輩に良い姿を見せられたらなと思う」(ムルター)。初めて味わう大舞台。今大会で引退となった470級の4年生の分まで最後までレースを楽しむ。

(10月15日・渡邊大樹)

試合結果

・スナイプ級(ムルター・中村/河野ペア、沖本・若泉/太田ペア、松永(理3)、齋藤大(現3)ペア) 総合8位

・470級(大坂(現2)・今村(社2)/玉川(済2)ペア、吉澤(文4)・藤井(文4)/菅野(法3)ペア、関(営4)・福田(済3)/玉川/皆川(済4)ペア) 総合12位

大会説明

今大会は各大学からスナイプ級・470級で3艇ずつ船を出して行う団体戦。日没まで可能な限りレースを行う。無風や強風の状況でレースを行うことが困難だと判断された場合、APA旗が掲揚され、その日のレースはその時点で中止となる。ヨット競技は点数の低いチームが高順位となる規則。3艇それぞれの順位を足した数がそのレースのチーム点数となり、その点数の低さを他大学と競う。

コメント

スナイプ級リーダー・ムルター
ー今の心境は

4年間いろんなことがあって。キツイことも辛い事も全て報われた気がします。

ー8位だと知ったタイミングは

合宿所に帰ってしばらく後だったので、けっこうギリギリまでわかんなかったですね。

ー順位を知るまでの心境は

ずーっと緊張してましたね。引退なのかも分からない時間が長くて、タフな時間でしたね(笑)。

ー1年生の沖本について

今年のスナイプチームに良い影響を与えてくれたというか、普通1年生なのに実力がしっかりあるのはあまりいないので、凄い貴重な存在でしたね。

ースナイプチームの雰囲気は

今年1年間通してなんですけど、下級生で力がある人が多いってのもあったので自由にやらせる、自主性みたいに、僕もあんまり強く言わずに自主性、主体性を持たせてやるような雰囲気で、最後までその雰囲気でした。

ースナイプリーダーとして意識したこと

最低限やってほしいことだけは指示して、あとの細かくやらなきゃいけないことは各手で分かっていると思ってて、実際分かってるんですけど、最低限やらなきゃいけないことだけを指示して、あとは自分の課題だったりを潰していくようなスタイルで今年1年間やってました。

ー法大を僅差で追う展開だったが状況は知っていた

レース中、僕がやっている側でも法政との点差がないというのは知っていたので意識はしてましたね。

ーコンディションは

途中吹き上がってきて半分サバイバル状態みたいな荒れた展開、荒れたコンディションになりましたね。

ー強風を得意とされているが

強風は元々得意だったんですけど、あんまり今日は本来の実力が出せているというわけではなかったので焦りというものがありました。

ー引退への実感は

まだ全然ないですね。次の全日本でも出るだけではなくて存在感のあるチームになりたいと思うので、そういうことを意識してやっていきたいと思います。

ー全日本に向けて

全日本に出るだけじゃ意味がないと思うので全日本でも実力のあるチームっていうのを全国に認識させるのと、来年以降も強いチームであってほしいという僕の願いがあるので後輩に良い姿を見せられたらなと思います。
スナイプ級スキッパー・若泉
ー今の心境は

いや、もう嬉しいなーっていうのしかないですね。

ー順位を聞くまでドキドキしていたか

ドキドキというかしっかり皆でずっと一生懸命競りながらやった上での最終レースで、APAだったので、そこはそんなにドキドキしてなくてどんなだったかなーという感じでしたね。

ー自身はどのレースから出たか

最後のレースだけです。本当は今日は沖本でずっと行くはずだったんですけど、沖本が足を負傷してしまったので。今日出るために腰自体も調整してきていたのですぐ代われるっていう状況で代わって出ました。

ー今日のコンディション

今日は葉山期間で今までで初めてくらいの風で、サバイバルコンディションっていうんですけど。沈艇が多かったようなコンディションだったかなと思います。

ー自分のレースはできたか

今日はサバイバルコンディションの時点で自分のやるべきところは沈をしないで帰ってくることだと思ってたのでダウンウインド、風を後ろから受けて走るときに、けっこう沈してる船もいて「絶対沈しないで走ろうね」ということだけ考えて、あとの2人が走ってくれるというのを信じてそれだけを守ってきました。

ー当初スナイプ級で意識してやっていたこと

6位に入りたくて。でもそういうときにどうしたらいいかというときに、圧倒的に早い人は4年間でいなかったんですけど、その中でも自分たちでどこがいけなかったのか、物のせいにしないとか、自分の失敗に逃げないというところをリーダーであるブレンダンがちゃんとやってくれたから、皆逃げたりせずに真摯に向き合って1年間やってきたから最後に2点ひっくり返して2点差で勝つことができたのかなと思います。

ー2点ビハインドというのは把握していたか

途中までしてたんですけど、最後のレース出る段階ではそれを分かってなくて。でもまぁ近いことはわかってたので。でもそれは法政とかを意識するのではなくて、自分たちがほころびを出した大学から落ちていくだろうなと思っていたのでそれはあまり考えず、自分が今何をしなければならないのか、当たり前のことを当たり前にしなきゃいけないなと思ってレースに臨んでました。

ー今日一緒に出た選手は

今日は太田匠。夏からずっと匠とインカレ出るっていって組み始めて。でも私が怪我してレースに出られないかもしれないってなったんですけど、そこはずっとコンビネーション的には、ずっと一緒にやってきてたから、匠自体もすごい一生懸命努力し続けてくれてて、そこは何も疑いはなかったし、匠の引くコースに1ミリも疑問を持つことなく走らせてくれたから本当にありがたいなと思っています。

ーレース自体は久しぶりだったが

船には乗りたいと思ってたし、自分としてもインカレに久しぶりに出るというのはプレッシャーというか、それが大きくて最後数点差で最後のレース任されるというのも多分緊張してたんだと思うんですけど。でも今まで過去の自分が出来ていたことが今の自分に出来ないはずがないと思って、それは今まで自信がないというのが自分の弱みだったんですけど、そこ自体は自分で克服して自信持ってレース出られたのかなと思います。

ーヨット暦は

4年半か5年半ぐらいですね。

ー今後は

どうですかね。下の代の助けになるなら全然続けます。

ー今後注目している後輩は

下のスナイプチームの一個下の3人はもちろん、その中で大輔(斎藤=現3)は一番好きな後輩だし頑張ってほしいと思うし、あとは1年生の沖本がまだ3年間あるので、この状態で、プレッシャーもあるなかこの順位で帰ってきてるということは三年後に凄い選手になるのではないかと思います。

ー沖本の活躍ぶりは

各大学一年生ってインカレ出てなかったり、出ても順位は高校時代に高くてもそんなに出なかったりするんですけど、そこに関しては沖本は遜色ない順位を取ってきてくれたからそこは本当にありがたかったなと思います。

ー全日本に向けてどういったことを意識してやっていきたいなどは

今のチームってすごい良いチームだと思ってるので、楽しく自分たちらしく、且つ順位を目指しながら三艇で各々同じ大学なんですけど、ライバルとしてやってきたのが凄く良いことだと思うから最後のレースまでお互いライバル視しながらお互いで順位取って勝った!負けた!ってやりたいなと思います。

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