【ハンドボール部】1年越しの悲願

2024年度秋季リーグ入れ替え戦

6月2日 立大 31-28 法大 国士大多摩キャンパス

全勝優勝で終えた春季リーグ。昨年と変わらず1部への復帰を目標に挑んだ立大は、助走十分に入れ替え戦へと駒を進めた。半年ぶりに訪れた舞台では法大と対峙する。昨シーズンの同試合では接戦ながらも1点差で敗れた因縁の相手。客席には歴戦を共にしたOBOGも訪れた。満員の立大サイドからは声援と鳴り物応援が響き、選手を鼓舞する。客席の大歓声を背に、部員全員で円陣を組み臨む本戦。主将・大久保(営4)率いる新体制のチームは、託された課題を胸にコートへ入った。

主将・大久保

前半は守護神・阿部(文3)の好セーブから幕を開ける。法大オフェンスの果敢な攻撃にも、ディフェンス陣の猛プッシュで流れをつかませない。放たれたシュートにも阿部がすぐさま反応し、失点を防いだ。続く攻撃では青木(コ3)がゴールに切り込むも、相手キーパーに阻まれる。その後も両ディフェンス、守護神の意地のぶつかり合いで0-0の時間が続いた。試合は動くも点数が膠着(こうちゃく)していた前半5分、立大オフェンスのミスを突いた法大の速攻へのプッシュにファールを取られる。7mスローを決められ、先制を許した。勢いづいた相手は続く守備でも好セーブを見せ、速攻から得点し2点のリードを奪われた。

立大の反撃の火蓋を切ったのは主将・大久保。デフェンスからの攻撃で相手ゴールに切り込むと、持ち前の力強い速球でゴールネットを揺らす。続いて2失点を許したが、副将・松川(コ3)が得点をあげ点差を縮める。強固な守備と阿部(文3)の活躍がオフェンス人を後押しし、島仲(ス2)のシュートで逆転を果たした。さらに大久保、石井(ス2)もダメ押しの得点をあげ試合の流れをつかむ。前半14分で法大にタイムアウトを切らせた。

ガッツポーズを見せる平田

再開後の相手攻撃にも阿部の好セーブが光る。しかし、攻撃でのエラーが目立ち相手がボールを持つ時間が増えた。得点をあげられず、徐々に点差が縮っていく。ミスからの速攻を決められ7-6、前半18分で立大はタイムアウトを切った。切り替えて攻めの流れに乗りたい立大であったが相手デフェンスも意地を見せ、なかなか得点につながらない。阿部も好セーブを続けるが、攻撃が最後までハマらず前半21分で再び相手リードの7-8となった。

再起の狼煙(のろし)となったのは、またもや大久保のシュート。相手の強烈なプッシュに打ち負けずゴールを捉え、同点に追いつく。振り出しに戻った試合はシーソーゲームとなるも、前半終了間際で7メートルスローを決め、1点のリードを獲得。さらに石井の速攻で得点し、12-10で前半を締めた。

副将・松川

折り返した後半もシーソーゲームとなるが、主導権は渡さず前半のリードを守る。立大ペースで試合を進め、後半12分で相手にタイムアウトを取らせた。再開後も松川、西野(コ4)をはじめとした積極的なデフェンスで試合の流れを保持し続ける。守護神・阿部も法大の強気なオフェンスに体を倒されるもゴールを死守。しばらく起き上がれない時間が続いたが、再びコートに立ち上がる。昨年度春の季東海大戦で前主将・三谷が流血しながら見せたプレーを彷彿(ほうふつ)とさせ、応援席からは拍手が響き会場はさらに熱気を増す。大城コーチも選手の漢気に感化し、阿部を抱き寄せた。後半27分、続く攻撃で松川が得点をあげた27-24のタイミングで法大はタイムアウトをとった。

今年からチームに加わった大城コーチ(写真左)

再開後も西野、平田(コ4)ら4年生の活躍で得点を重ねる。試合終了まで残り1分で立大はタイムアウトを取ると、勝利へ向けて帯を締め直した。終了間際には西野、島中が得点し、攻めの流れに乗ったまま31-28で後半戦を終えた。試合終了のブザーが響くと、選手たちは喜びをあらわにする。応援席の部員も駆け寄り、勝利を讃え合った。1年越しとなる悲願、1部昇格の実感が徐々に込み上げる。昨年この場所で流した涙は、感涙に変わった。

試合後、涙を浮かべる平田

立大らしさに磨きをかけた昨年度。ハンドボール部は1年を通して応援しがいのある存在へと昇華し、他者理解の精神はチームの信頼関係を強固にした。新体制で迎えた本年も、大久保率いる新チームには客席から応援の声が飛び交う。「1部奪還」を目指し勝利にこだわり続け、全勝で終えた春リーグ。入れ替え戦でも勝利を収め、最高の形で今シーズンを終えた。

(6月2日 小島優太)

抱き合う松川と本田(済3)

 

〈試合後コメント〉

大久保選手(営4)

ー今日を振り返って

やっぱり入れ替え戦ってすごく独特な雰囲気で、もう6回目だけど慣れずというところで緊張感もありつつ、最初はいつも通り出来ていて良かった。最後勝ててよかった。

 

ー今日の個人的な目標は

やっぱり自分が点をとってチームを楽にしてあげられたらいいなというのはずっと思っている。自分がチームで1番最初の点をとったことでチームが盛り上がっていい感じになったのはすごく良かったかなと思う。

 

ーなかなか点が決まらなかった入りの心境は

入れ替え戦はそんなもんだなと思っていた。自分が1年生の時に入れ替え戦に挑んだ際も、最初15分で3点みたいな全然点が入らない試合をしていたので、開始7分ぐらいで0ー2で1点も取れていなくても焦りはそんなになかった。

 

ー今日に向けてどのような対策をしたか、去年の入れ替え戦との違いは

やっぱり1番変わったのはディフェンス。自分たちがしっかりディフェンスをして、あとは色々なメンバーが代わりに出ても同じようなクオリティのプレーができるのはすごく今年の強みだと思う。見てもらったらわかる通り、メンバーがどんどん代わっていくので、ずっと出ているメンバーはほとんどいない。そこで、クオリティを落とさずに、ディフェンスでこっちがアドバンテージを握って代わった選手がオフェンスで点をとってという循環がすごく良かったかなと思う。

 

ー後半、点を取って取られてという一歩も引けない状況の中での心境は

ラスト10分ぐらいはほんとに長い、はやく終わらないかなと思っていた。でも、そう思いつつも、そこで焦った方が負けるなと思っていた。こっちが外しても、その後守れば0ー0で元々の点差はキープできるので、外しても守ればいいと考えればメンタル的にもそんなに焦りはなかった。焦ることなくゲーム運びできたと思う。

 

ー体力的にはどうでしたか

自分でもびっくりするぐらいきつかった。1回交代したが、とてもきつかった。緊張感もあり、そういう独特な雰囲気に呑まれていた部分はあったが、代わりに出てくるメンバーも遜色なくブレーできるのでそこは安心して任せられた。

 

ーベンチにいた間も焦りはなかったのか

今日のみんなの出来だったら全然通用していたので、心配することはなかった。1回雰囲気が落ちかけた時だけタイムアウトの時に下げることなくっていう声掛けだけした。チームとして雰囲気を高く持っているだけで上手くいくことも多いと思うので、自分が出ていなくても雰囲気を下げないようにすることはすごく意識している。

 

ー個人として、チームとして良かった点

個人的には、相手11番のエースプレーヤー、今回の春リーグ1部で得点王の相手をある程度抑えられたんじゃないかなという点が良かった。また、自分としても苦しい時間帯、最初の時間帯もそうですし、途中の後半も苦しい時間帯で自分が点をとって勢いをつけられたのは良かったなと思う。

 

ー100点満点で自分に点数をつけるなら

90点ぐらい。基本的には良かったが、やっぱりちょっと体力で削られた部分もあったし、ちょっと単発はやく打ってしまってチームとしてはオフェンスのムードが出来なかった部分もあったので、そこは反省しつつ、他の部分は良かった。勝ったから全てよしみたいな雰囲気になってます。

 

ー来シーズンに向けての全体の目標は

まだチームとしての目標はないが、個人的には入れ替え戦回避。今まで入部してから最初の春はコロナで試合がなかったが、秋からやっていく中で毎回入れ替え戦をやっているのでもういいかなと思う。次は入れ替え戦を回避したい。

喜びを分かち合う大久保と阿部

阿部選手(文3)

ー試合を振り返って

今日は新チームが始まってから目標にしていた舞台だったのでなにがなんでも勝ちたいなという気持ちで挑んだ。

 

ー念願の1部昇格を果たした今の気持ち

嬉しいしかない。

 

ーどんな気持ちで望んだか

どういう展開になるかはわからなかった。自分がチームを勝たせるという気持ちで臨んだ。

 

ー試合への準備

チームとしてはエースの攻撃を防ぐこと。自分でも相手の分析をしっかりして挑んだ。

 

ー実際に対戦してみて

ノーマークとかフリーのシュートは予測通りにきた。ただ合わせるだけでそれが今回ハマったのでよかった。

 

ーよかった点

立ち上がりチームとしてシュートが入らない時間帯が多かったが、その時間に自分のセーブで盛り上げることが勝利につながったかなと思う。

 

ー何度も好セーブを見せてチームを救ってくれたが

気合いで全部挑んでたのでそれが全部いい方向に行ってよかったです。

 

秋リーグへ向けて

1部でしっかり戦っていけるように普段の練習からしっかりトレーニングする。このチームでインカレまで見据えてやっていくので1部でも勝ち上がっていけるように頑張りたい。

 

ー東日本インカレへの意気込み

確実に買っていい流れで秋リーグに繋げたい。

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