【陸上競技部】第100回箱根駅伝事後インタビュー~Part11 林英明コーチ

2年連続の箱根路に挑んだ立大。総合14位と目標のシード権獲得には届かなかったが、昨年から大幅に記録を更新し、大きく飛躍を遂げた。今回は大会終了後のインタビューをお届けする。


インタビュー抜粋
林英明コーチ(01年卒)

―箱根駅伝を振り返って

結果は総合14位でしたが、チームはシード権獲得・10位以内を目指していたので、目標達成には至りませんでした。ですが、往路復路ともシード権争いに絡む戦い方はでき、戦えるレベルにあることが確認できたので、収穫があった結果でした。

―チームの良かった点

良かった点としては、しっかりと箱根駅伝に至るまでに目標を意識して、アプローチできたことだと思います。学生主体で準備を行い出場する選手から当日の区間配置まで、色々と意見を出し合って決めた結果なので、難しい部分もあったとは思います。そのような流れだからこそ、出場する選手1人1人が意識を高めて、自覚を持って臨めたと思ってます。
区間順位のところでは残念な結果と思っている人たちもいると思いますが、その一方で(区間)1桁台の3区の馬場(コ2)、10区の関口(営4)はかなり上位で入ってくれました。 チームとしても、そのような結果が出せたことは良かったと思います。

 

―今後の課題点

箱根駅伝への出場は昨年に引き続いて2回目で、まだまだ経験や本選に向けた調整能力には課題があると思います。選手がシード権を狙えるぐらいのレベルで練習を行ってきていたのを見ていましたが、やはり本番に合わせるピーキングの部分、箱根駅伝当日に合わせることは難しいんだなと思いました。
また、箱根駅伝独自の流れがありどこでたすきを受けたか、周りにどのような選手がいるかによって、レース展開が変わってくる部分もあるので、落ち着いて対応できるかどうかは経験が活かされる部分だと思います。そういった経験を積んでいくことが、うちのチームにとって1つ課題になると思います。

―学生主体の中でチームの強みとは

この数ヶ月間で学生たちが自分のことを自分で考えられるようになったことは、他にはない強みになっていると思います。フルタイムで見れる指導者がいなくなってしまったところは、もちろんデメリットの部分ではありますが、一方で学生たちは自分で自分たちのことを決めていく、考えていく。そしてチーム内でしっかりと、コミュニケーションが取れるようになったところは、非常に強みになり、学生たちの成長につながったんじゃないかなと私は見ていますので、主体性を持ったチーム作りは1つ大きな我々の強みになったと思います。
今後もそういった学生たちの主体性、自分たちで自分たちのことを考えて、チームの中でコミュニケーションを取っていくことは、引き続き続けてほしいと思いますし、その強みを今後進化させてほしいなと思っています。

 

―練習内容も選手主体で考えたのか

練習メニューは去年の練習の流れを参考にしながらそれを元に、私が大枠は作り、細かい設定は学生たちが意見を出し合って決めてメニューを作っていました。その部分はこの数ヶ月で大きく変わった部分だと思います。

予選会後、関係者に挨拶をする様子

 

―林コーチはどのようなチームを目指し、指導をしたのか

私も大学職員の仕事があり、フルタイムで選手たちを見ることができないので、学生たちの力を信じて、ある程度学生たちに考えさせながら指導をすることは、最初に(原田)総監督とも話をしました。学生たちはその点についてしっかりと受け止めてくれまして、練習や出場する選手、合宿に関しても我々とコミュニケーションを取りながら、学生たち主体で考えてもらいました。
また主務がしっかりとチームを取りまとめる役割をしてくれていたので、頼もしかったですし、そのことで、チームの選手と指導スタッフとのつなぎ役になってくれていたので、コミュニケーションを大事にしながら本選に臨めたと思います。

 

―選手と接する際に大事にしていること

彼らは力のある選手ですし、自分なりに考えも持っている選手たちなので、気持ちの面で、落ち着いて本番に臨ませることが、大事かなと思いました。不安があれば言ってもらう、選手選考でも10人しか走れないので残念に思う、気持ちが落ち込んでしまう学生もいると思うので、そういった学生に声をかけてコミュニケーションを取ることなどは心がけていました。出る選手に関しては、本当に自分たちの力を信じることと、リラックスして臨むことを中心に、声かけをして臨んでもらうようにしていました。

 

―本選当日、選手に対してかけた言葉

箱根駅伝は他の大会とは異なる大規模な大会で、沿道にも多くの人が来るということもあり、平常心を持って望むことが難しくなると思いましたので、とにかく落ち着いていくことと、私も市民ランナーとして今も走っているのですが、ランナーの感覚として普段と違う雰囲気のレースだとペース設定がどうしても狂ってしまう可能性があります。気持ちが高ぶっていたり、アドレナリンが出てたりすると、速いペースで入ってることに気が付かないことがあると思うので、入りの1㌔と3㌔ぐらいまでのペースはしっかりと、(時計を)見ながら落ち着いて入るようにと指示を出しました。

―勝負と感じた区間

前半で言うと3区の馬場が区間8位で頑張ってくれました。1・2区は集団の中で勝負していくところで、順位よりどこまでシード圏内のタイムでつなぐかが勝負だったと思います。2区までは厳しい戦いでしたが、そこからうまく流れをつなぐところで区間1桁台の順位で(総合順位)も上がってくれました。4区の中山(コ4)、5区山登りの山本(営3)もですね、かなり頑張ってくれて往路はシード圏まで1分20秒でつないでくれたので往路の3、4、5区が良かったと思います。
復路は原田(ス1)が1年生ながら山下りで重要な区間でしたが、59分48秒、1時間以内のタイムで下ってくれて、良い流れでシード権に絡めるような入り方をしてくれたので良かったと思います。あとは8区で頑張ってくれた稲塚(営3)と、もう特筆すべきは関口ですよね。関口までつなげば、なんとかしてくれる思いもあったと思いますが、皆がそこに向けて頑張って期待を受けて4年生のエースが最後上位の区間順位でゴールしてくれたことは非常に良かったと思います。
結果的にはシード権まで少し厳しい戦いにはなってしまいましたけれども、最後までシードを目指すんだと意識を持ちながら、たすきをつないでくれたという戦い方は頼もしいものがあったなと思っています。

往路後の選手・チームスタッフ
左から原田総監督(当時)、主務・水取(コ4)、山本、主将・宮澤(現4)、林コーチ

―原田選手は予選会に出走しなかったが、本選に向けての努力などは見られていたか

1年生の中で1番走れる選手で、予選会での出走はできませんでしたが、予選会以降の練習消化率などを見ても力があると思っていました。本人が元々、下りをやりたいと希望を出していましたし、タイムトライアルの中でも非常に下りの能力があることが、分かっていたので早い段階から下りで原田を使うことは有力な選択肢でした。そこに向けて、本人も準備をしてくれたと思います。

 

―関口選手は一度離脱したが、復帰するまでの経緯

体調を見ながら、慎重に判断していく必要があるなと考えていました。ただ、本人が治すことを大前提に(本選に)間に合うのであれば準備をしていくと。我々が沖縄合宿に行ってる間も、寮で自分なりにできる練習をこなして、12月下旬になると走れるようになってきました。沖縄組との練習に合流した際の負荷が高い練習もかなり余裕を持ってこなしてくれていたので、我々からしても無理のない範囲ということで。
肺気胸となり、もう箱根駅伝には出られないと諦めるのではなく、そこに向けて何ができるかを自分なりに考えながら、準備をしてくれた部分は頼もしいと思いましたし、素晴らしい結果だったなと思いました。

―今回の未出走選手で注目の選手はいるか

力のある選手が多くいるので、難しい部分はありますが、1人期待してるのは山候補の永井(コ2)です。彼は怪我がなく力をつければ、山で戦えるくらいに伸びてくれると思います。山本が山に対してやる気になってくれていますが、お互いに切磋琢磨して磨きをかけていければ、もう少しタイムを縮めてよりシード権が近づくと思っています。

 

―来年へ向けた目標

やはりシード権獲得ですよね。もう1度チャレンジすることが目標になると思います。今回(シード権まで)2分20秒、手の届くところにもう来てるんだということが、順位以上にタイムを見ると理解できたと思います。本選に向けたピーキングなどを上手く行えばしっかりと狙える位置にあると思いますので、今大会を色々振り返り、また次につなげて必ずシード権が確実に取れるように、準備をしたいと思います。

(1月31日 取材・大内貴敬、熊谷光洋/編集・大内貴敬)

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