【ソフトテニス部女子】『岡山インカレこぼれ話』/上野美穂コーチ、現役被ったラスト世代との団体を指揮!史上最高の準Vも「私のせい」決勝後には涙

岡山インカレ団体戦は8月7日、8日と2日に渡って開催され、立大は創部史上最高の準優勝。その中心で、上野美穂コーチ(14年度卒)は6試合選手起用やアドバイスなど、指揮をとった。大会前の練習から泉田(コ4)・中田(文4)ペアを抜擢し、決勝では大会初出場の寺戸(文3)を起用。打てる策は打つ采配が、大躍進のきっかけとなった。

インカレ団体戦。ベンチで選手にゲキを送る上野コーチ(14年度卒)。団体戦全6試合を指揮し、チームを創部史上最高の準Vに導いた【撮影・川村健裕】

選手を見る目がピカイチだった。大会初日、インカレ初戦の1ペア目から勝負に出る。過去3年で1度もペアを組んでいない中田・泉田の主将主務をコンビとして起用。2人はどちらも前衛の選手で、女子のW前衛ペアはごく稀。「練習で組んでいて、相手も嫌そうな感じを見ていたので」と、4年生最後のインカレでの勝負の一手に決めた。

計算済みの3本回しだった。立大の長年の課題は体力不足。体育大学との体力差が、実力の差がなくても響いていると常々口にしていた。よって、高卒まもない1年生ペアの体力に賭ける。「もし、3本回ししなければならない状況になるとしたら、3本目(3ペア目)で出すのがベスト」と、大事なカードでは3ペア目にいつも松永・土井を据えて臨んだ。これが見事に的中。大会通じて2度の3本回しは、「想定外の誤算」だった。

4年生とは腐れ縁だ。現役の世代とは年齢も差がなく、選手との距離も近い上野。現4年生とは現役の期間が被り、先輩後輩の関係でもあった。泉田とはペアを組み、中田とは試合後の車でチームのことについて語る。加藤(文4)、小林(コ4)とは同じ後衛。思い入れがないわけなかった。

いつもの笑顔から、涙がこぼれた。決勝後、コート内のミーティングにて上野の目から涙が溢れた。「選手起用は自分のせい。優勝させてあげたかった」。創部史上最高の準Vにも悔しさをにじませる。思えば結果の出ないリーグ戦、降格瀬戸際の入れ替え戦前でも「インカレで優勝する力がある」と、選手を1番信じていたのは上野だった。表彰式後、四年生と上野で写真撮影をする光景があった。夕日に照らされた師弟関係の5人。全員が現役引退となったが、きっとこの先も関係は続くだろう。写真撮影後、上野コーチは急いで翌日からの仕事のため帰京した。(10月5日/取材・文=川村健裕)

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