
257・258合併号
【フェンシング部】頭角を現すルーキー! 恩師の支えを胸に跳躍 山口 エペ個人 日本学生 準V

堂々とした構えをみせる山口(ス1)
学生最強を決める大会で、立大のルーキーが準優勝の快挙を成し遂げた!山口は高校1年生からフェンシングを始め、3年次にはインターハイ優勝という華々しい経歴を持つ。彼の強みは相手を誘い出す戦術。長所を生かし難敵を打ち破ってきた。目標はオ リンピックでの金メダル。一層鍛錬を重ねている彼に期待が高まる。
一剣入魂
大学という新たな舞台で、堂々の準優勝を果たした山口。「1年生で2位 を取れて嬉しい」。大会を終え、喜びをあらわにする。相手を圧倒し、ルーキーながら存在感を放った。 今大会に向け、山口は相手を誘い出す戦術に注力。長いリーチを生かし、中間距離をキープしながら攻撃を促し隙を突く。15本勝負の実戦練習を重ね状況判断と速度を研ぎ澄ませた。実力を測る試金石として挑んだ今大会。予選を危なげなく通過し、本戦を迎えた。山場は3回戦、相手は部の先輩である田中光(ス2)。全力でやろうと言葉を交わし、真っ向勝負が始まった。立ち上がりからシーソーゲームを繰り広げ、両者譲らぬ展開。気迫のこもった雄叫びが得点のたびに響き渡る。終盤、13-13の均衡を破ったのは山口だった。攻め込んでくる相手に対し、低く構えてポイントを奪取。流れに乗って最後は胸元へ正確に突き、勝負を決める。激闘を制し、勢いそのまま準優勝の座に輝いた。「すべての試合に全力を尽くし、来年は優勝する」。一戦一戦を真摯 (しんし)に向き合う姿勢こそが山口を次なるステージへ導いていく。
宿命開花
中学3年生の時、五輪で見たフェンシングに心を奪われ剣を握ることを決意。高みを目指して強豪校に飛び込んだものの、高校2年までは結果が出ずもどかしい日々が続いた。転機が訪れたのは高校3年の春。励んできた仲間とともに、夏に行われる全国大会の団体戦で優勝したいいという思いが胸に灯る。高校ラストイヤーという自覚も山口を突き動かし練習に身が入るようになった。成長を後押ししたのは高校で指導にあたっていた西田コーチの存在。一対一の実践練習を通して、フェイントの使い方と距離感を磨く。アドバイスを受けながら試行錯誤し、自分にあった戦い方を見極めた。春から重ねた努力は夏に実を結び、現在の強みである相手の攻撃を誘う戦術を確立。団体戦で準優勝を果たすと続くインターハイでは日本一の称号をその手でつかみ取った。今春から進学を決めた立大には西田コーチも指導者として就任。新たな環境でより一層練習に精を出す。「五輪に出場し、金メダルを取りたい」。 山口の視線はすでに未来を見据えている。恩師とともに世界を制する準備は整った。 (早川愛乃)

勝利後に安堵(あんど)の表情を浮かべる様子
【陸上競技部】圧倒的な脚力で記録の壁を越える 重ねた鍛磨が形を成す 関東インカレ1500メートル V 「勝つべき試合で勝てた」

真剣なまなざしで力走する様子
魅せた疾走
関東の精鋭たちが一堂に集結した相模原ギオンスタジアム。再び立った勝負の走路で、青木は力強く勝利のVサインを掲げた。 予選は安定感のある走りで通過したものの、連戦の疲労が残る。決勝のコンディションに不安を感じるも、自分自身の走りに集中。連覇のプレッシャーにとらわれることなく、落ち着いてスタートラインに立った。号砲が鳴り、選手たちが一斉に飛び出す。想定通りの位置に付け勝負どころを見据えた。徐々に順位を上げラスト1周半。青学大・小河原が仕掛け先頭へ。離されまいと闘志に火が付き、背中を追いかける。優勝争いは3人に絞られた。「前に出るなら今しかない」。一段、二段とギアを上げ、残り1周を切った地点で先頭に立った。腕を大きく振り勝負に出る。スパートをかけ、自分の力を振り絞った。残り200㍍、スクリーンには後続の選手を引き離す自分の姿。勝利を確信し、ゴールラインまで駆け抜けた。 大会新記録で連覇の快挙を達成。1部の優勝タイムをも上回る記録に、嬉しさをあらわにした。「今回の勝利を決して終着点にはさせない」。高みを目指す挑戦の歩みは止まることなく、さらに加速していく。
結実への道
大会新記録で連覇の快挙を成し遂げた青木。快挙達成の背景には、環境の変化をポジティブに受け止め自らを鍛え続けた不断の努力があった。 高校は強豪・大牟田。大舞台での上位入賞は何度も経験したが、優勝はなかった。「1位になりたい」。強い思いは大学陸上へとつながる。 青木は駅伝チームに所属しながらも、中距離を専門に競技。1500㍍を突き詰める一方で、将来的には長距離も視野に入れる。両立を叶える場として立大を選んだ。2年次に指導体制が変わりスピードから持久力重視にシフト。練習方針の変化を、自らが成長できる良い機会だと捉えた。インターバル走や20㌔以上の走り込みを取り入れ体力の底上げに着手する。中距離選手向けに作られた坂道トレーニングも実践。妥協を許さず、練習に打ち込んだ。 1年かけて鍛え上げてきた持久力は確かな力となり、レースに発揮される。かつての自分は届かなかった大舞台の頂点に2度も立った。次に狙うのは、日本選手権優勝。つかんだ栄冠を糧に、新たな境地へと足を踏み入れる。(横田侑奈)

笑顔の髙林監督(=写真左)とメダルを持つ青木(ス3)