224号

立教スポーツ第224号

10月5日更新

【ソフトテニス部女子】ソフテニ女 60年越し インカレ 団体 史上最高準V マツドイ岡山ですごかったけぇ~! 「やっとやっと報われた」 中田主将、あなたは史上最”幸”のキャプテンです

美女軍団がついに逆襲を果たした!ソフトテニス部女子が創部60年にして初のインカレ準優勝。昨秋5位、今春最下位という苦しいリーグ戦を乗り越え関学大、東経大、関大ら強豪校を撃破。過去最高位のベスト8を大きく塗り替えた。大躍進の裏には1年生ペアの活躍や主将・中田依緒里のチーム改革があった

決勝戦で得点を決めた松永(文1)・土井(文1)ペアと、喜び合う選手たち【撮影・川村健裕】

MVPはマツドイ

どよめきと歓声の中、待ち受ける仲間とハイタッチを交わしマツドイがベンチを駆け抜けた。だんだんと手のひらが熱くなる。今大会2度目の3本回しで、まさかの決勝進出を決めた。
インカレを控え、苦悩の中にいた。プレッシャーのない個人戦は結果を残しても、団体戦では勝つことができない。松永・土井ペアは不調のまま、4年生との最後の団体戦を迎えた。
窮地で底力を発揮した。初戦、2回戦と勝ち進み、続く3回戦は2日目進出を懸けた対関学大。4年生の泉田・中田ペアらが敗れ、自分たちが3ペアを倒さなければもう後がなかった。4-0、4-1で順調に相手を倒し残り1ペア。必死でボールを追い続け、コースを狙ったショットで最後は松永が決めた。予想外のベスト8だった。
2日目も快進撃は止まらなかった。準々決勝は加藤・森本ペアが調子を取り戻し2勝。続く準決勝、春季関西王者の関大にまたも松永・土井ペアが3本回しをやってのけ、4年生と決勝の舞台に進んだ。勝てなかったペアが、勝利へ導く心強いペアに覚醒した。
楽しくて楽しくて、仕方がなかった。試合中に土井が腰を痛め、松永は右足の親指の爪が剥がれかけるボロボロ状態。それでも試合では痛みを忘れ、相手との駆け引きに夢中になった。
あっさり負けた決勝に悔いはなかった。準優勝の鍵となったW3本回しも「実感ないんですよね」。 マツドイは18歳と19歳のあどけなさを見せて笑った。

逆襲の立教

チームを思い、苦悩の中にいた。中田が入部当初の立大は楽しいだけで追い込みが足りない。そんなチームを変えたいと思った。
主将就任後、まずは雰囲気づくりに取り組んだ。チームに当事者意識を持たせるため、主将の仕事だった練習メニュー決めを全員に割り振った。自身がチームから遠ざかるのを防ぐため就職活動で忙しい時期でも練習には必ず顔を出した。
だが結果は散々だった。昨秋はリーグ戦5位、今春は最下位で入れ替え戦へ。「私は史上最低のキャプテンだ…」。 1年生から主力として活躍し、王座出場も経験してきただけに結果を出せない自分を責めた。
それでも練習が一番の自信になると信じていた。2年前のインカレで感じた体力不足から、1カ月前には新たに10周走を導入。試合数をこなすため走りこんだ。
「逆襲の立教」をスローガンに掲げ、最後のインカレで準優勝。ついに中田改革が実を結んだ。「やっとやっと報われた。大学生活の中で、一番濃い2日間でした」。 いつもは弾けんばかりの笑顔がトレードマーク。この日ばかりは、うれし涙が主将の頬にきらめいていた。(齋藤まな)

【モーターボート・水上スキー部】30年ぶり3度目 「みんなで笑えた」 インカレ女子3連覇 勝ち歌は鳴り止まない またまた勝った! 何度笑うんだ女神様 大西760点差で圧勝 学習院大の猛追も 30㍍超で逆転優勝 

この勢いは誰にも止められない。堂々の女子3連覇達成だ! 宿敵・学習院大との一騎打ちは、最終局面までもつれる激戦に。七條莉奈(営4)の大ジャンプで雌雄を決した。部員たちは力強く歌う。「聞け立教の勝ち歌を」。 2度目のアンコールに応えた伝統歌がインカレの舞台を彩った。

優勝に喜び、笑顔溢れる女子部員一同。来年は24年ぶりの4連覇を狙う【撮影・小林桂子】

不敗の決意

この勢いは誰にも止められない。堂々の女子3連覇達成だ! 宿敵・学習院大との一騎打ちは、最終局面までもつれる激戦に。七條莉奈(営4)の大ジャンプで雌雄を決した。部員たちは力強く歌う。「聞け立教の勝ち歌を」。 2度目のアンコールに応えた伝統歌がインカレの舞台を彩った。
激動の日々を振り返り、日本一の指揮官は明かす。「インカレまで学習院大に勝てていなかった」。この四年間、宿敵・学習院大と壮絶な一騎打ちを繰り返してきた。
全ては2年前の秋から始まる。代替わりしてから初の公式戦、新人戦でのことだ。学習院大に圧倒され、優勝を奪われた。表彰台の頂点を下から見上げる。彼女たちにとって、1位以外に価値はない。
頂点への抜本的なチーム改革が始まった。女子チーフ・小泉(観4)はミーティングで呼びかける。「個人じゃなくチームのために」。様々な意見を交わし、根底にある気持ちを再確認した。「二度と負けたくない」。個人記録にとらわれていた部員たちが互いにアドバイスを始め、水上スキーの基礎を一から叩き込んだ。
連覇の味を知るコーチ陣からもゲキが飛ぶ。「テッペンじゃなきゃ意味がないんだよ!」。かつて絶対王者として勝利を義務づけられたOB・OGの言葉は重かった。
熱血指導に耐え抜き、確かな成長を遂げた部員たち。チームはでき上がった。迎えた大会当日、日本一を勝ち取るため再び両校が相まみえる。

必勝チーム

全てはこの時のために。最大で最後の夢舞台・インカレでこれ以上ない滑り出しを見せたのはトリック。大西(法4)が他を圧倒。集大成となる華麗なラストダンスで2位に760点差をつけ、総合1位に導いた。
最高の形でスタートを切った立大に宿敵の影が迫る。続くスラロームで学習院大が総合1位、ジャンプを残して差を1㍍以下に縮められた。
さぁ決着の時。ラストを飾るジャンプでは最終滑走者まで両校一歩も譲らない展開。大会のトリを任されたのは七條。立大の誇るエースジャンパーに勝負の命運は委ねられた。「この中で私が一番滑っている」。絶対の自信を持ってジャンプ台から飛び出す。誰よりも高く大きな弧を描いて着地。電光掲示板を見る前にガッツポーズ。確信があった。映し出された数字は最長不倒の30・1㍍。勝者は最も大きな声援と笑顔を送り続けた絶対的笑者だった。
歓喜の後、小泉が力強く宣言した。「次は私たちが支える番です」。今度は小泉たちがOB・OGとして技術を伝える。受け継がれる絶対王者のバトン。セントポールの鐘の音は来年も立大の勝利を告げるだろう。(三井田惇)

【洋弓部】最高峰の大会で魅せた下克上 王座4位

アーチェリーの聖地で王座決定戦が行われ、堂々の4位! 18校で行われた予選を見事通過し、強豪ぞろいの決勝へ。2回戦では昨年度優勝校の日体大を撃破。駆けつけた部員やOBらの声援を背に新たな歴史の1ページ刻んだ。その躍進には4年生のチーム改革があった。

有村とグータッチを交わす(左から)大川(コ3)、西條(済3)、須藤(済4)【撮影・東海林航平】㊤応援する部員たち

歴代最強

応援席から拍手が湧き起こる。憧れの地で戦い抜いた選手たちの笑顔がはじけた。
予選を8位で通過し迎えた2日目。徳山大にストレート勝ちし、次の相手は昨年度優勝校の日体大。誰が見ても立大が勝つのは厳しい。格上相手に1エンド目を落とした。だが当たって砕けろの精神で立ち向かうことで流れを引き寄せる。55―53で2エンドを獲得すると、3エンドで同点に食らいついた。声援が弓を引くたび、大きくなる。勝負の行方は最後の須藤の一射まで分からなかった。会場に緊張とざわめきが入り混じる。みんなの思いを乗せて放った矢は中心に刺さった。目標のベスト8を超えた瞬間だった。その後の2戦は緊張の糸が切れ、勝利を逃したものの4位で大会を終えた。
「初めての王座だったので、右も左も分からなかった」と主将・有村。今大会は各地区リーグ戦の上位校が集まる。周りは常連校ばかり。立大にとっては創部初の大舞台だ。須藤は「周りの雰囲気に飲み込まれないか」。不安と緊張で自然と体が硬くなった。だが、試合が始まるとそんな思いは吹き飛んだ。

固い結束

「良い雰囲気の中でできた」。試合を振り返り、選手たちは口をそろえた。
これまで部活動の運営を行ってきたのは、9人の4年生。何度もあと一歩のところで王座を逃してきた。“今年こそは王座へ―”。有村を中心に、4年生がチームを変えた。縦のつなががりを強くする。ミーティングに後輩も参加させ、学年関係なく意見を出し合った。また学年ごとにスローガンを決め、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し合った。チームとして戦っている。その自覚が一人一人に芽生え、チームの雰囲気を良くした。
大会を終え、4年生と共に過ごす日々はあと少し。「口達者ではないので背中を見てくれていたらな」と語るのは副将・粕谷。対して、その後を継ぐ大川は「同じような存在になりたい」。チームを支えている背中を見続けてきた。言わなくてももう思いは伝わっている。
“来年も、あの場所へ―”。連続出場を果たすため、部員たちは今日も弓を引く。4年生が築き上げた礎は、確実に後輩に受け継がれていく。(蜂須賀実樹)

【ボート部】インカレ 舵手なしフォア 準優勝 受け継がれる最強DNA 銀→銅→銀→?

大会直前、怪我人発生のアクシデントを乗り越え準優勝だ!表彰台に上ったのは男子舵手なしフォアの吉田潤・山口恭平・石政雄也・滝島俊一。女子ダブルスカルで角谷真緒(コ3)・櫻井奈々(コ2)も3位に入賞だ。10月の全日本選手権へ向け、彼らの「革新」が始まる!

息を切らしながらゴールを目指す舵手なしフォアのクルー【撮影・渡邊大樹】

突風に注意

予選は快晴だった。強豪・明大に3秒差をつける圧勝。6分18秒43の記録は大会中破られることはなかった。
準決勝。一転して曇り空から強い風が吹き始めた。ボートにおいて風は船速に大きく影響する。突風に苦しみながらも2位で決勝へと進んだ。
滝島にとっては初めての決勝。艇庫から出発する時にはプレッシャーを感じていた。船を川に浮かべて漕(こ)ぎだす。レース前の静かな水上でアップしていく感覚がどこか心地良い。不思議と気持ちは落ち着いた。
前日同様、強い風が吹く中で決勝が始まった。この日の立大は川岸に最も近い第5レーン。声援がそばで聞こえた。序盤は先行する明大を2位で追う展開に。中盤、「ここだって時に風に吹かれてしまった」と吉田。ラストスパートで追い上げるも万事休す。準優勝に終わった。しかし山口は試合後、こう口にした。「あの声援があったからこその終盤の追い上げだったと思います。」

雨のち晴れ

大会1カ月前、暗雲が立ち込めていた。クルーのエンジン・石政が腰を負傷。発覚時は出場さえも危ぶまれた。
舵手なしフォアは部のトップが集う。それ故に周囲の期待も大きい。誰もが焦りと不安を感じていた。3人はOBに代理で乗ってもらいながら石政の復帰を待った。
離脱していた石政にとって、周りの存在は大きかった。毎日声を掛けてくれる滝島。風呂に行くと何かおごってくれる吉田。心配してくれる同期やマネージャーたちの言葉で気持ちが上を向く。2週間前に復帰し少しずつ遅れを取り戻した。
今回見えた課題は風が吹いても安定してオールを回す技術力。今大会、曇り空の中に晴れ間は見えた。光の差す方へ。彼らは満足していない。
感謝の気持ちを表すためにも一番いい色のメダルを獲りたい。石政は決意を新たにした。「絶対順位つけるんで。この言葉を覚えておいてください。」その予報はきっと外れない。(酒井大河)

【自転車競技部】不調断ちキッタ!エース帰ってキッタ! 橘田 インカレオムニアム 7位

インカレで橘田和樹(現3)が7位入賞を成し遂げた!全国大会入賞常連の選手たちを相手に苦しみ、最後の種目を残して8位と20ポイント差の14位。橘田は勝負に出ると、ラップを決め、38点を獲得。番狂わせの入賞だ。

験担ぎの白ソックスを履き、コーナーを駆ける橘田【提供・自転車競技部】

逆転への一手

 日本代表の選手たちが出場する大会。中盤まで苦戦を強いられる。しかし、最終種目で猛烈な巻き返しを見せた。
 得意な第1種目こそ、持ち味のレース勘を生かした走りで6位に食い込む。だが、第2・3種目で判断ミスが重なり、大きく順位を落とした。
 残すは最後の1種目。目標である入賞圏内の8位に食い込むには、この種目でラップ(集団に周回差をつけること)を決めてポイントを稼ぐ必要があった。しかし、ラップを決めるのは簡単に出来ることではない。 
 序盤は、拮抗(きっこう)した展開。順位を落とすリスクを覚悟しながら飛び出した。やがて、この仕掛けを契機に2人の選手との逃げが形成。集団が3人のスパートを見送る。「行けるかもしれない」。勢いのまま逃げ続けた。自分でも驚くほど足が回り、ついにラップを決めた。
 結果的に7位まで順位を上げ、大逆転での入賞を果たした。

復活への一言

 部内ではエースとして実力を認められる存在。しかし一昨年度のクラス1昇格以降スランプに苦しんでいた。結果が出ない焦りで練習に身が入らず、自信も失っていた。
 不振を脱するために原点に立ち返った。競技を始めた頃と同じように一つ一つのレースの分析を入念に行う。持ち味のレース勘と判断力に磨きをかけ続けた。
 逆境を主将・澤部(済4)の言葉が救った。インカレ決勝、最終レースを前にし、「8位まで20ポイント差だぞ」。自分でさえ諦めていた、逆転での入賞。あえて可能性を口にすることで奇跡の逆転につなげた。中学からの悲願である全国大会での入賞を成し遂げた。
 集大成と銘打った大会を最高の形で締めた。そして感じたのは周囲への感謝だ。目に涙を浮かべる両親、自分のことのように喜ぶ部員たち。駆けつけていたOBも含めた歓喜の輪が出来ていた。「支え」を痛感した。次は上級生として自分が支える番だ。(安藤勇生)

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