【野球部】絶対的王者・早大との戦いを打ち破れ!<秋季リーグ戦 早大戦展望>

長い夏を経て、決戦の秋がやってきた。今季初カードとなる法大戦では見事勝利を収め、好調なスタートを切ることに成功した立大ナイン。次なる相手は、4連覇・50勝を狙う早大だ。優勝へ繋がる大一番が、今幕を開ける。

鉄壁の早大投手陣に挑め

早大のエース・伊藤(4年=仙台育英)

早大の大黒柱いえばやはり、伊藤樹だろう。昨季、明大戦で史上26回目となるノーヒットノーランを達成した伊藤。日米大学選手権においても大役を担った右腕は、さらなる進化を遂げている。足を2回上げていたフォームを1回に変え、新球・ワンシームを武器に加えた。ラストイヤーを迎え、ドラフトを目前に控える今、その投球を打ち崩すのは容易ではない。

4年生がわずか2人という若い陣容の中で、最も注目すべきは髙橋煌稀(2年=仙台育英)だろう。早大の小宮山監督から次代の大黒柱になり得ると期待される逸材だ。東大戦では、5回1失点で初勝利を収め、オープン戦ではノーヒットノーランを記録。持ち前の糸を引くような直球に磨きがかかってきている。そのほかにも、ドラフト候補の田和廉(4年=早稲田実業)、昨季リーグ戦で初完封を挙げた左腕のエース宮城誇南(3年=浦和学院)、打者の手元で沈む“伊勢海老チェンジアップ”が持ち前の安田虎汰郎(4年=日大三高)など、実力ある投手が顔をそろえる。わずかな隙を見つけ盤石の投手陣から得点をもぎ取れるかどうかが、勝敗を大きく左右するだろう。

気迫のあるスイングを見せる小林(コ2=広陵)

隙のない早大投手陣を打ち破るべく期待がかかるのは、若き二遊間コンビ・村本(文2=大阪桐蔭)、小林だ。法大1回戦では、チームとして今季初となる2点本塁打を放ち、4打数4安打と完璧なスタートを切った小林。続く3回戦でも、勝負を決める本塁打を放ち、現在の打率は.500とチームトップの数字を残している。確実性に加え、一発の魅力も兼ね備えた打撃は大きな武器となるはずだ。村本も打率.400と好調を維持している。昨季の早大戦では満塁の場面で人生初のサヨナラ打を放ち、王者から唯一の勝ち点を奪う立役者となった。恐れず振り抜く姿勢が、再び勝利を呼び込むだろう。

彼らの魅力は守備にもある。夏キャンプでは守備の強化に取り組み、今季は無失策を目標に掲げる。堅守を誇る2年生コンビの存在は、立大の大きな支えとなるはずだ。さらに、昨季三冠王に輝いた立大の主砲・山形(コ4=興南)、昨季早大3回戦で劇的なサヨナラ本塁打を放った、頼れる4番打者・丸山(コ2=大阪桐蔭)、そしてルーキーの鈴木拓(文1=仙台育英)、長島(ス1=東農大三)、濱本(コ1=広陵)ら若き力も揃う。経験と新鋭が融合した分厚い打線が、神宮を熱狂の渦へと巻きこむ。

猛打の攻撃陣を封じ込め

六大学屈指の強力打線を誇る早大。もっとも警戒すべきは前田健伸(4年=大阪桐蔭)だろう。昨季は打率に伸び悩んだものの、慶大戦では満塁本塁打を放ち、その実力は折り紙つきだ。今季は夏のオープン戦から調子を上げ、現在の打率は.833とリーグトップの打率を誇る。副将として臨む最後のリーグ戦に向け、快音を響かせている。早大の1番打者としてチームをけん引する尾瀬雄大(4年=帝京)も打線の要となることだろう。夏キャンプ等を通して、ウエートに並々ならぬ力を注いできた。その結果が功を奏し、以前よりも長打が増えてきたという。以前まで以前までは単打の多い巧打者だったが、体作りに力を入れ強打者へと変貌。現在、東京六大学リーグ戦通算90安打を記録している尾瀬。節目の100安打、そしてドラフトに向け懸ける思いは並々ならないだろう。ほかにも、前田に続きリーグ打率2位を誇る吉田瑞樹(4年=浦和学院)、打点王をねらう早大の主砲・寺尾拳聖(3年=佐久長聖)、攻守ともに優れた渋谷泰生(4年=静岡)など警戒すべき打者が揃っている。また、早大は投手陣の打撃も好調だ。昨季、先発として多くのマウンドに立った伊藤、宮城は両者とも打率は2割を超える。1番から9番まで切れ目のない打線が迫ってくる。

力投する斎藤(コ3=仙台育英)

強力な早大打線の前に立ち塞がるのは、法大では2回の先発マウンドを経験し、圧巻の投球を披露した竹中(ス4=大阪桐蔭)だ。幾度か先発経験はあるものの、今まではリリーフとして腕を振るってきた。キャンプでは、先発として戦えるよう調整を重ねてきたという。昨季は早大戦で5イニングのロングリリーフにも関わらず、相手打線を無失点に抑えた。竹中の制球力でチームを勝利に導いてほしい。2戦目のマウンドを担うのは、斎藤だろう。昨季はリリーフとして腕を振るってきた斎藤。法大戦では自責点4と本来の力を発揮することができなかった。早大戦では、本来の投球で早大打線を唸らせてほしい。立大の絶対的エース・小畠(営4=智辯学園)からも目が離せない。2022年度、立大から楽天にドラフト1位で入団した大先輩・荘司康誠から教わった落差の大きなフォークを操る。夏のファーム戦ではロッテ、巨人を相手に無失点の快投。プロ入りを目指す小畠にとって、関係者にアピールする絶好の機会になったはずだ。法大戦では登板回避していたためコンディションは気になるものの、マウンドに立てば勝機は大きい。さらに、昨季2戦目の先発を任されていた田中(文2=仙台育英)もリリーフとして控える。昨季明治3戦目で肘を剥離骨折してしまい、夏はリハビリに徹していた。復帰が危ぶまれたが驚異的な回復力を見せ、秋リーグに間に合わせてきた。法大1回戦では3回を投げ、6奪三振と勝利投手輝いた。ブランクを感じさせない姿は、むしろ以前より強さを増している。ほかにも、立大のクローザー・吉野(コ4=仙台育英)などのブルペン陣が揃う。要所での四死球をいかに抑え、無駄な走者を出さないかが勝敗を分ける肝となるだろう。

8年ぶりの「飛躍」に向け、西川主将(社4=神戸国際大附)率いるタテジマ軍団が最後のリーグ戦に臨む。絶対的王者・早大との対戦に打ち勝ち、栄冠への流れをつかみたい。

(9月25日・布山愛)

 

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