
256号(新歓号)
立教スポーツ256号(新歓号)
【陸上競技部】強敵相手に食らいつき好記録を樹立! 立教健児が海外に羽ばたく 馬場 日本学生ハーフマラソン 銀 「攻めた走りができた」
力走を見せ、達成感に満ちた表情でゴールに飛び込む馬場(コ3)
立大のエース・馬場が、日本学生ハーフマラソンで堂々の準優勝を果たした。1時間0分26秒の圧巻のタイムをたたき出し、日本人学生歴代3位となる快挙を達成。今夏にドイツで開催されるワールドユニバーシティゲームズ日本代表に選出された。箱根2区での快進撃から一か月。果敢なレース運びと圧倒的な走力で、日本トップレベルの実力を示した。日の丸を背負う誇りを胸に、世界へ挑む。
力走の証
「準優勝できて、本当に嬉しい」。歓喜と驚きが交錯する中初めて立つ表彰台で馬場は満面の笑顔を見せた。箱根駅伝からわずか1カ月で臨んだ今大会。白子での合宿を通し、試合に向けて身体を作り直す。スタートから果敢に攻めることを目標に、当日まで練習に励んだ。迎えた本番、冷え込む空の下で号砲が鳴り、選手が一斉に飛び出す。プラン通り、序盤から先頭集団で積極的な走りを見せ、28分02秒の好タイムで10㌔を通過。トップが絞られ後続グループに大きく差をつけた。中盤、疲労がたまり遅れそうになるも、髙林監督の教え子である篠原(駒大)から後ろを着いてくるように促される。余裕のある走りに感化され馬場の折れかけた心に火がついた。その後、数キロにわたり第1集団で粘るが徐々にペースが落ち、第2集団へと後退。苦しい中でも、前を目指す気持ちは切らさず必死に足を動かし続けた。ラスト3㌔に差し掛かると、後方の選手たちが次第に迫る。馬場は冷静に自分のペースを守り抜き、自己ベストを大幅に更新する走りでフィニッシュラインに到達。格上の選手たちと競った経験が自信につながった。見事に勝ち取った世界への挑戦権。「日本代表として恥じない走りがしたい」。新シーズンに向けさらなる成長を誓う。
変革と成長
馬場が陸上を始めたのは中学時代。友人の誘いをきっかけに競技人生が始まった。高校2年次、第100回大会に向けて箱根路を目指す立大駅伝部に惹かれ、進学を志す。念願の入部を果たし、所属後は部の方針であったスピード強化に注力。順調に結果を残すも、馬場にとってレース後半の失速が課題だった。転機が訪れたのは2024年。監督が代わり、速度重視の練習よりも走行量を重んじるメニューが増加した。長い距離のトレーニングを重ね、ペースを維持して走り切る力を身につける。持ち前のスピードに持久力が加わり、努力は着実に結果へと表れた。10月に行われた箱根予選会ではチーム内ト ップの成績で1位通過に貢献。また3度目の出場となる丸亀ハ ーフで、日本人学生歴代3位の快記録を打ち出す。「想定以上の結果を出すことができた」。鍛え上げたスタミナが、苦しい局面も耐え抜く走りを実現。立大の要として成長を見せた。学生最後となる今年。1万㍍ で27分台を狙い、箱根2区では自己ベストを10秒更新する66分20秒切りが目標。己の限界を超えてチームに貢献するため、日々鍛錬を重ねる。世界の大舞台そして箱根本選シード権獲得に向け、馬場の挑戦は決して止まることはない。(前澤佑実)
喜びにあふれた表情で表彰台に登壇する様子
【サッカー部男子】積み重ねた鍛錬が花開いた! 己を磨き手にしたスキル 嵯峨 J2 水戸 内定 「必要不可欠な選手になりたい」

満面の笑みで撮影に応じる嵯峨
嵯峨康太がプロ内定を果たす。立大から6人目のJリーガーが誕生した。持ち味はⅯFならではの広い視野と、精度の高いキック。チームの柱として立大を勝利に導いてきた。今季はJリーグ特別指定選手となり、大学生ながらプロの世界で戦う。今後の活躍が期待される嵯峨。水戸の地でさらなる進化を遂げ、チームをJ1に導く。
夢への軌跡
3歳から始まったサッカー人生。来る日もコートに向かい、練習を重ねた。今季から念願だったプロのフィールドに足を踏み入れる。中学時代、抜群のセンスでプレーするも一対一の局面を左右したのは体の大きさや足の速さだった。体格差のある相手にも負けないよう、考える習慣を身につける。高校で挑戦した海外遠征。中学での経験を生かし、フィジカルでは敵わない外国人選手にも勝機を見出せた。「真っ向からやり合わない」。冷静に状況を分析して動きを予測することで、ボールを味方に引き寄せる。正面対決だけが勝負ではないことを体現。全体を見てプレーする嵯峨の原点を形作った。培ったスキルを武器に、一度は高卒でのプロ入りを目指す。しかし守備力が足りず、夢には手が届かなかった。諦めきれなかった嵯峨は、立大でさらなるスキルアップを目指す。夢をつかむため、鍛錬の日々が幕を開けた。
挑戦の先に
1年次から試合に出場し、巧みなキックと統率力で攻撃陣の要となる。左足から繰り出される多彩なパスでシュートコースを切り開き、得点に貢献してきた。「自分の弱さと向き合う」。かねてからの夢であるプロ入りを果たすために、強く決意を固めた嵯峨。高校時代から弱みだったディフェンスの克服に励んだ。走る量を増やし脚力をつけたことで、相手の素早い攻撃にも即座に対応。対人的な距離を詰めることを意識し、プレッシャーをかけることも出来るようになった。中盤を突破させない強固な守備で自陣を守り抜く。積み重ねた努力が実を結び数々の試合で活躍した。ボールを扱う技術が高く評価され、水戸からのオファーを受ける。周囲の期待にやっとの思いで応えられた喜びから、満面の笑みを浮かべた。「チームに必要不可欠な選手になりたい」。どんな環境でも自分のプレーを貫くことが目標。憧れだったJリーグの舞台で輝くために、嵯峨は緑のピッチへと走り出した。(中村祈珠)

シュートを打つ様子