【野球部】8年ぶりの悲願達成へ!勝負の開幕戦がはじまる〈秋季リーグ戦 法大戦展望〉

昨春は3連覇を成し遂げた早大相手から唯一勝ち点を奪うなど、6季ぶりの3位を記録した立大ナイン。立大59年ぶりの三冠王を獲得した山形(コ4=興南)を擁するタテジマ打線が猛威をふるい続けた。今季の開幕カードは対法大。昨季は2連勝を飾った相手ではあるが、侍ジャパンの4番も務めた主将・松下(4年=桐蔭学園)を中心とする強力打線を抑え込めるかが鍵となるだろう。

豊富な投手陣を攻略できるか

法大の先発一番手としては山床(2年=高鍋)が登板すると予想される。昨季にリーグ戦初登板を果たした左腕は、すべて中継ぎとして8試合に登板し防御率1.54と安定感を誇る投球を披露。ワンポイント、ロングリリーフ問わないタフネスさが評価され大きな飛躍を遂げた選手の一人である。今季は先週の慶大戦にて“開幕投手”として神宮の先発マウンドに上がると、7回途中まで一人の走者も出さない完全投球を見せ、詰めかけたファンに衝撃を与えた。3回戦でも先発として登板し、失点はしつつも大崩れはしない粘りのピッチングで慶大打線を制してきた。一方で、これまで第一先発として先発マウンドを守り続けてきた野崎(4年=県岐阜商)はリリーフに専念する模様だ。今春に立大戦で先発登板した時には、7回を投げ107球、被安打5、自責点1と、タテジマ打線を完璧に抑え込んだ。172cmと比較的小柄な体型の左腕から飛び出す最速145キロの直球とキレ味あるスライダーは今季も他大の脅威となるであろう。加えて、リリーフ陣は多彩さを強みとしており、昨季は計12投手がリリーフ登板を経験。そのうち半分の6選手が4年生だ。十人十色の経験豊富な投手陣が他大の強力打線へと立ち向かう。今季も先週の慶大戦にて、助川(3年=茗溪学園)、丸山(4年=成東)といった今春に登板記録の無い投手たちがそれぞれ3連投を見せており、開幕カードからブルペン陣の好調ぶりを見せつけている。

今季はリリーフに専念する野崎

昨季はリーグ2位のチーム打率.284を記録したタテジマ打線。なんといっても全試合不動の一番打者としてチームを引っ張り続けた山形の存在が大きかった。打率.444、5本塁打、17打点で見事三冠王を受賞。今季も打線の要としての活躍が見込まれる。また、打撃陣のキーマンとなるのは村本(文2=大阪桐蔭)だろう。昨季は2年生ながら二塁手のレギュラーを獲得し、初の規定打席到達、チーム4位の打率.308を記録した。村本の打撃成績の中で一際目を引くのは、その三振率の低さである。昨季は56打席に立ち、三振はわずかに2つ。これはリーグの中でも頭一つ抜けた数字となっており、ミート力に長けた巧打者の活躍に今季も目が離せない。そのほかにも昨季、満塁本塁打を放つなど勝負強いバッティング光った鈴木唯(コ4=東邦)やキャリアハイの打率.333、そして早大戦での逆転サヨナラ本塁打を放った丸山(コ3=大阪桐蔭)などリーグ戦経験豊富な選手たちがタテジマ打線を牽引できるか。

二塁手レギュラーとして躍動する村本

強力打線を封じ込め

法大打線の要となるのは、やはり松下である。大学通算11ホーマーは現役最多を誇り、長打力は他大投手陣にとって大きな脅威であり続けるだろう。また、松下の守備力にも注目だ。三塁線を抜けようかという当たりを好捕し完璧な一塁送球を見せる。時にはジャンピングキャッチもいとわず行い、守備範囲の広さを相手打者に痛感させてきた。強打者・松下と共にクリーンナップを形成するのが藤森康(3年=天理)と片山(3年=八王子学園八王子)である。藤森康は2年春のリーグ戦で初めて規定打席に到達するとそこからレギュラーに定着。昨季は打率.340、14四死球と、出塁率の高さが目を引く。コンスタントに安打を放ち、時には優れた選球眼で出塁。ひとつ塁に出れば足でかき乱し好機を演出することもできる左の好打者だ。大学入学を機に投手から外野手へ転向した片山は、昨季リーグ戦初出場を果たした。初安打をきっかけに5試合連続安打を記録。慶大戦では5打数4安打という固め打ちも披露した。彗星のごとくあらわれたクラッチヒッターはバッティングだけではなく、元投手としての強肩を武器に守備のリズムからチームに流れをもたらしていく。そのほかにも、2年生ながら不動の1番打者として高打率を残し続ける境(2年=大阪桐蔭)や昨年に驚異の“1年生首位打者”として注目された熊谷(2年=花巻東)などアベレージヒッターぞろいの打線が投手陣を援護できるか。

法大不動の4番・松下

立大の“開幕投手”を担うと予想されるのはやはり不動のエース・小畠(営4=智弁学園)である。最高学年として迎える初めてのリーグ戦となった昨季は、エースの貫録を見せつける投球を披露。中でも開幕戦の対慶大1回戦では、10回途中150球11奪三振2失点、と相手先発・外丸(慶大4年)との素晴らしい投手戦を繰り広げた。シーズン通して安定したピッチングを見せるもわずか2勝に終わる。勝ち星には恵まれなかったがチームの大黒柱として今季も先発マウンドに立ち続け、立大ナインに勢いをもたらしていく。そして先発投手から勝利のバトンを受け継ぐ“勝ちパターン”として登板していたのが、斎藤(コ3=仙台育英)と吉野(コ4=仙台育英)の仙台育英コンビであった。斎藤は8試合に登板し、11回と2/3を投げ自責点3、防御率2.31と中継ぎエースとして好投した。イニング数を上回る奪三振を記録しており、勝負球の高速スライダーを惜しみなく使い、三振の山を築き上げた。吉野は今春、開幕当初は失点が続き本来のピッチングを見せられなかった。防御率3.72、奪三振数も前シーズンから激減と少々安定感に欠ける投球に。昨年の春リーグでは防御率0.93とほぼ完ぺきな投球を披露していただけに、復活劇に期待したいところだ。

不動のエース・小畠

今季の調子を占う重要な開幕カード。17年春以来の悲願のリーグ優勝に向け法大の「執念」に競り勝ち、「飛躍」した姿を見せつけたい。六大学100周年を迎える節目の年、勝利の女神が微笑むのはどちらのチームか。

(9月18日・東直虎)

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