【スケート部スピード部門】高みを目指し駆け抜けた 怪我を乗り越え、再起を果たす 野明 全日本距離別女子3000㍍ 4位
シーズンの開幕を告げる今大会。国内トップクラスの選手たちが長野に集結した。野明は大会初日の3000㍍に出場。ワールドカップへの派遣標準記録を突破し、4位入賞を果たす。本試合の結果を受け、世界大会への切符を手にした。
大願成就
「想像以上の結果を出せた」。その言葉の裏に長い苦闘があった。4着以内の選手にW杯出場権が与えられる本大会。野明が4位に入賞し、悲願の代表入りを果たした。過去大会からの課題は中盤でのペースダウン。初速に力を入れ序盤のスピード維持を意識する。レースプラン実現のため持久力を強化。心肺に余裕のない状態でも、スピードを落とさず滑走できるよう取り組んだ。号砲が鳴り、力強く氷を蹴り出す。滑り出しから理想的なリズムを刻んだ。始めの2周を昨年から2秒縮めて通過。自身の予想を大きく上回るペースに驚くも冷静に滑走を続けた。ラスト3周に入り、全身に疲労が広がる。「絶対に妥協はしない」。焦らず、一定のラップタイムを保つことを徹底。最後まで気力を振り絞り、無我夢中でゴール地点を滑り抜ける。力強く拳を上げ、安堵と達成感の入り混じった笑みが溢れた。冬場のけがを乗り越え迎えた今季大一番。「2年前とは違い、挑戦心と覚悟でつかんだ4着」。自らの成長を強く実感できる復帰戦となった。
克己前進
自身2度目となるシニアW杯代表に内定した野明。けがからの再起を果たし、つかんだ栄光だった。昨年12月に足首を負傷。冬場のシーズンを残してリンクを降りる。競技を始めてから初の経験だった。滑ることのできないもどかしさから、情報を全て遮断。悔しさを胸に淡々とリハビリに専念する。氷上を離れて友人と過ごす新鮮な時間が野明を前向きにした。復帰に向け、リハビリと並行して上半身と体幹を強化する。さらに高強度の自転車トレーニングを実施。最後まで戦い抜く持久力を養った。回復後は滑り込みを重ねるも、8月の大会で結果が振るわず自信を喪失していた野明。模索を続ける中で北京五輪王者・髙木美帆選手率いる「team GOLD」の練習に誘われ参加の機会を得る。一流選手と共に鍛錬を積むことで高度な技術を吸収。直線時に乱れがちなフォームを見直し推進力を強化する。滑走の質を磨く過程で本来の滑りと自信を取り戻した。オリンピックへの出場権も視野に入る今季。再び日の丸を背負う彼女には、苦難を乗り越えた強さが宿っている。(前澤佑実)
【相撲部】強気の女王、譲らぬプライド 逆境を糧に一念発起した 石井 女子軽重量級個人・団体 アジア 金
昨年の世界大会覇者として臨んだアジア選手権。猛者が集う個人部門で真価を発揮した。初戦の相手は開催国のタイ代表。敵地の空気に呑まれることなく、白星をあげる。勢いそのままに決勝へと駒を進めた。得意の押し出しを決め、優勝を果たす。団体戦でも頂点に立ち、立大が誇る女王がアジア二冠に輝いた。
再起奮闘
2年前は出場にすら届かなかったアジア選手権。石井は悔しさを胸に再び立ち上がった。中学以来2度目となるアジアの舞台でつかんだ栄光。メダルを手にした瞬間、女王の顔に笑みがこぼれた。昨年の世界選手権で優勝を果たした石井。達成感から練習に身が入らない日々が続く。それでも全日本で激闘を制し、代表に選出された。アジア選手権は昨年開催されず、久々の挑戦。再びチャンスを得て心に火がついた。「生半可な気持ちで国際大会には臨めない」。優勝の瞬間を思い描きながら、強みの押し相撲を磨いた。個人では初戦から開催国・タイの選手と対戦。大きな声援を受ける相手に臆せず白星をあげた。迎えた決勝、相手の回しを取り粘り強く土俵際へ寄せる。最後は力を込めて押し出し、全勝で頂点に立った。「一つの道を極めることに意味がある」。努力の価値を実感した今大会。成功を信じ、石井の挑戦は続く。
和衷協同
「勝って当たり前」。絶対的な団体戦王者・日本にのしかかる連覇への重圧。それでも石井はチームのために、勝利だけを見据えて土俵に上がった。団体戦は3人制で行われる。全員が世界大会でも顔を合わせる仲間で、特別な言葉を交わさずとも信頼でつながっていた。階級は違えど、出稽古を行い連携を深める。プレッシャーを活力に変え、日々の練習で互いを奮い立たせた。戦いの火蓋が切られると、一同は勢いを止めることなく優勝へ王手をかける。大会は大詰めを迎え、石井に最後の壁が立ちはだかった。相手は体力の差から不得意とする軽量級の選手。「絶対に連覇を止めない」。揺るぎない覚悟が石井を突き動かし、得意の押し相撲で先手を狙う。力強い立ち会いから一瞬の隙も与えず決着。代表としての誇りと絆が悲願の連覇をたぐり寄せた。石井が次に見据えるのは世界選手権での優勝。積み重ねてきた自信を胸に、世界の頂へ躍り出る。(早川愛乃)
【モーターボート・水上スキー部】絶対的な総合力で勝ち抜いた 大勝負で好成績を収める 男子インカレ 7年連続日本一
学生の頂点を決める全日本水上スキー選手権。男子団体が創部史上初の7連覇を果たした。ジャンプ競技で昨年の記録を塗り替え、3種目全てでメダルを獲得。勢いに乗る立大のさらなる飛躍に今後も期待がかかる!
熱闘の盛夏
不動の王者立大。歴代タイ記録となる7連覇を目指し、みちのくの地で偉業に挑んだ。1か月半に及ぶ琵琶湖での合宿を乗り越え迎えた今大会。共同生活で深まった結束力がチームの熱気を高めた。「常に史上最高を」。今季の目標を胸に刻み、初日はスラロームとトリックに臨む。選手間で水質や風向きなどを共有し、連携プレーで力を尽くした。しかし苦戦を強いられ、点数が思うように伸びない。2種目終了時で首位と差が開くが、巻き返しの可能性を残し最終種目に挑む。勝負を決めるのはジャンプ。先陣を切る久保田(文3)が高得点を獲得した。彼の試技を皮切りに、反撃の波が押し寄せる。続く選手たちも好成績を残し最後の種目を全体1位で通過。2位と600点の差をつけた。全種目を終えトップに躍り出た立大。史上2校目となる7連覇を達成した。次に掲げる旗印は前人未到の8連覇。新たな挑戦に向け、彼らは今日も水上を駆け抜ける。
連帯力の源
「大学から始めても頂点を目指せる」。選手は競技に宿る、未来への期待感に魅せられた。立大は仲間との試行錯誤と支え合いを礎に、絶対王者の地位を築き上げる。夏合宿では全部員が集まり鍛錬に励んだ。普段は少人数で行うトレーニングが多い分、合宿は互いのノウハウを共有する絶好の機会。チーム一丸となり技術の底上げを図る。模擬試合では出走順を思索した。滑りの感覚が近い選手同士を連ね本番を見据えた情報共有に力を注ぐ。ひたむきに積み上げてきた日々が、王座を狙う熱意を高めた。現役選手の努力に加え、立大の強さの支柱は脈々と受け継がれる絆。普段の練習から大会まで卒業生がサポートする。河口湖での練習では技術面の指導で部員を支えた。合宿で培った横のつながりと、世代を超えた縦のつながり。その両輪が7連覇の偉業へ導いた。「立教らしく挑戦し続ける」。誰も成し得ぬ8連覇を目指し、信念とともに歩み出す。(横田侑奈)
「立教スポーツ」第260号では、他にも【女子ラクロス部、ボート部、ヨット部、フェンシング部、女子バレーボール部、空手部、スケート部フィギュア部門、ローラーホッケー部、射撃部、剣道部、ゴルフ部、軟式野球部、少林寺拳法部、水泳部】の戦績を紹介しています。記事本文は、ぜひ紙面をお手に取ってご覧ください!
☆配布日程:2025年12月4日~12月10日@立大池袋キャンパス、新座キャンパス
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