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立教スポーツ255号

2024年12月6日更新

【相撲部】輝かしい功績をあげ、絶対的女王の地位に 若き武闘家、技量を示す! 石井 世界選手権 V 「自分のスタイルを貫けた」 

金メダルとトロフィーの獲得に笑顔を見せる石井(ス1)

世界のアマチュア力士がポーランドに集結。日の丸を背負う石井は、強豪に立ち向かった。今大会に向けて得意とする押し相撲に打ち込む。努力が実を結び予選から圧倒的な実力を披露。最終戦では不屈の闘志で難敵を打ち破る。3度目の挑戦で悲願の王者に輝き、創部史に名を残す大記録を樹立した!歩みを止めぬ女王の次なる行き先に期待が高まる。

3度目の正直

全日本で優勝を収め、日本代表として臨んだ世界選手権。3度目の挑戦で悲願を果たした。「今年こそは絶対に優勝したい」。最高成績は2位。昨年は不調から出場すら叶わず、並々ならぬ思いで当日を迎えた。緊張感はあったが、ウォーミングアップの手ごたえは良く調子は万全。予選から力のある海外選手を圧倒し、危なげなく決勝まで駒を進めた。臨んだ最終戦の相手は対戦経験のあるウクライナ代表選手。短期決戦の押し相撲を得意とする石井に対し、回しを取って倒すプレーを仕掛けてくる。「勝てない相手ではない」。苦手意識はあったものの、倒される前に押し出す心意気で勝負に挑んだ。開始の合図とともに互いに力強い立ち合いを見せる。懐に飛び込んできた相手をとらえ踏み込んだ。回しを取られるも動じることなく、攻撃を跳ね除ける押しでラストスパートをかける。気迫の寄り切りで相手の左足が土俵外へ飛び出し、約7秒の決戦を制した。「人生で一番嬉しい」。3度目の表彰台でつかんだ頂点で、満面の笑みと涙を浮かべた。立ちはだかる海外選手にひるむことなく、異国の地で堂々たる取り組みを見せた石井。立大の新星は世界制覇を成し遂げエースの座を確固たるものにした。

大功への道程

シニアとしては2度目のワールドチャンピオンとなった石井。世界大会のタイトル全制覇まであと一つと迫る。彼女の輝かしい功績の裏には地道な努力があった。今大会に向け、自身の強みである「押し相撲」へより一層の磨きをかける。短時間での決着を狙う石井にとって、立ち合いが重要なカギを握っていた。力強い踏み込みが出来なかった全日本での経験から、出だしのスピードとパワーを意識し何度も稽古を重ねる。フィジカル面では押しの力に直結する下半身の強化に尽力した。トレーニングの頻度を増やし、体を極限まで追い込む。一瞬で衝撃を与えそのまま土俵際まで攻め入る、勝利までの道筋をより強固なものにした。努力は結果に表れ準決勝までは約4秒で相手を打破。攻撃の余地を与えない圧倒的な取り組みで快勝を収めた。大舞台に向け課題と向き合い鍛練に励んだ日々。変わらない戦術を磨き続けることがどんな敵をも打ち砕く強さにつながっている。石井は小学2年生から相撲を始め、数多くの快挙を成し遂げてきた。競技に対する情熱は人一倍強く、自身の活躍による相撲のさらなる普及を目指し奔走する。「勝ち続けられる人になる」。立大エースは挑戦の歩みを止めず、歴史に名をとどろかせる。(前田結香)

表彰式での集合写真

【ボート部】一丸となり晴れ舞台で力漕! 最後に有終の美を飾る インカレ 女子総合 V 「皆で頂点に登り詰めた」

全日本大学ローイング選手権大会。女子は代表の10名が出場し、7種目に挑んだ。結果は出場校中最多のメダルを獲得し、創部史上初となる総合優勝に輝く。勝利の立役者となったのは主将・髙橋の存在。快挙の背景は、唯一の4年生女子競技者としての努力と苦悩があった。

創部史上初の快挙

強い日差しが照り付ける戸田ボート場。学生日本一を決める大舞台が幕を開ける。表彰台を逃した昨年の雪辱を果たすべく、総勢10名の選手たちが一丸となった。7種目の合計点数で順位を決める本大会。3日間に及ぶ熾烈(しれつ)な争いの数々を乗り越え最終競技のエイトに臨む。個人の能力だけでなく全員の総合力が試された。迎えたレースは序盤から好位につけたまま勝負の命運をかけた終盤へ。小林の舵取りで全員が息を合わせ、ペースを揃える。先頭の飯塚、井上を中心に全クルーが力を振り絞りスパートをかけた。トップの仙台大を猛追するも、結果は執念及ばず3位で入線。勝利とはならなかったが、5つの種目で表彰台へと上り詰める。堂々の成績を残し、見事総合優勝に輝いた。創部以来初の壮挙を成し遂げた立大。「嬉しいの一言だった。」主将の髙橋は喜びを噛みしめる。チーム全員で日々目指してきた学生日本一。全員の力でつかんだ優勝は特別なものだった。今年のメンバーで挑んだ最後のレース。チームには髙橋の追い求めてきた「一体感」が生まれていた。

主将の歩み

高校入学を機にボートを始めた髙橋。日本一を目指し仲間と奮闘するも目標には届かなかった。悔しさを原動力に変え、大学でも競技の続行を決意する。入部後は同期に女子競技者がおらず、先輩と練習を重ねる日々を過ごす。チームワークが試される競技の中で、自らが積極的に意見交換をする必要性を実感した。最高学年となり、主将に就任した髙橋。これまでの経験を生かし、部員とのコミュニケーションを重視する。実力派揃いの後輩たちをまとめるため、互いに指摘し合える環境づくりに努めた。日々のミーティングを積み重ねる中で自然と結束力が強まる。仲間と団結し、自信を持って競技人生最後の大会に臨んだ。総力戦で挑むエイト。スタート前には仲間と過ごした日々への思いを噛みしめた。総合優勝を決めたときには涙がこぼれる。実力者集団をまとめあげ、努力の日々を結果で証明した。引退レースとなった本大会で最高の成績を残し、7年越しの悲願となる日本一をついに達成。頼れる主将は仲間と紡いできた絆とともに、競技人生に終止符を打った。(熊木颯一郎)