240号

立教スポーツ240号

2021年12月2日更新

【ボート部】男子舵手なしフォア全日本「圧倒的優勝」!勝利を手繰り寄せた爆発的加速力!創部以来初の2冠達成!

【ボート部】晴れやかな表情で水面をたたきつけ水しぶきをあげるクルーたち

待ちに待った時が来た! 男子舵手なしフォアが5年ぶり2度目の日本一に輝いた。4年生のラストレースにおいて創部史上初、インカレとの2冠を達成。社会人も混ざった全国規模の今大会で、悲願の「圧倒的優勝」を果たした!

憧れ続けた頂の景色

「最高のレースだった!」。 艇庫に戻り、クルーたちは笑顔で声をそろえた。仲間に出迎えられ抑えていた感情があふれ出る。念願の頂の景色に歓喜の雄たけびを響かせた。
レースプランはスタートでリードを奪い、後半ギアを上げ直す作戦だ。予選は社会人の強豪がひしめく中で圧勝し続く準決も他を寄せ付けず1位。確固たる自信を保ち決勝へのイメージを固めた。
迎えた最終日。最大の相手は戸田中央総合病院RC。5年前の優勝クルーである根本(17年度卒)と勝俣(16年度卒)が所属する。卒業後も練習への協力や数多くの助言をもらってきた「偉大なOB」だ。その強敵に今大会初のリードを奪われる。しかし、500㍍地点でその差は半艇身。クルーたちに焦りはない。終盤、塘のコールで勝負をかけた。「ボンバー!」。 勝負所でしか使わない4人の秘密兵器。船は爆発的に加速し一気に先頭に躍り出る。勢いそのまま、2位に1艇身差をつけ激戦を制した。
大会後、仲間たちと健闘をたたえ合った。「やっとだな」という熊木吉章監督(94度卒)からの言葉に石政は頬を濡らした。憧れ続けた優勝の喜びは誰よりも大きかった。

【ボート部】金メダルを見せがら力強くガッツポーズをする選手たち

日本一のその先へ

大会までの5カ月間クルーの躍進を支えた「圧倒的優勝」という目標。その中心には4年生の存在があった。
最年長の石政はチーム作りに励んだ。過去自らも先輩と組んだ経験を生かし、後輩たちが気後れすることなく意見を言える環境を整えた。石政が相談に乗り個々の強みを引き出す。どのクルーよりも勝てる素質があることを伝え続けた。
大学でボートを始めた森田は結果を残す難しさを誰よりも痛感していた。出場した過去2回の全日本は決勝には届かずじまい。「優勝の先を見据えないと絶対に優勝できない」。 敗北の悔しさを知るからこそ、厳しい言葉を自分や後輩にかけた。4年生が行動と言葉で示し、後輩を引っ張る。4人で「圧倒的優勝」へ息を合わせた。
目標を達成するため、まず1日の練習量を増やし何度もミーティングを重ねた。時には激しく衝突したが全ては4人で日本一を達成するため。高い志のもとでクルーが一つになった。その後、学連主催のタイムトライアルで1位。自信は確信に変わり、頂への原動力となった。
日本最速の称号を得た立大なしフォア。しかし、彼らの挑戦はまだ終わらない。日本一のその先へ、十字のオールは漕ぎを進める。

(丹能萌絵)

【ボート部】笑顔でクルーと抱き合う森田(現4)

 

【ボート部】岸に戻り抱き合う選手たち

 

【ボート部】息を合わせ力漕する選手たち

【レスリング部】歴史的快挙!65年ぶりのメダル獲得!全日本学生F74キロ級河村が銅 鍛えた速さとパワーで勝ち取った

全日本選手権フリースタイル74キロ級で、河村歩が3位! インカレでのメダル獲得は立大レスリング部史上65年ぶり。期待のエースが新たな歴史を刻んだ。初出場ながら、磨き上げた瞬発力とパワーで存在感を示した。

【レスリング部】賞状とメダルを手にする河村

力闘を制して

1年生ながら出場を果たしたインカレ。格上ばかりの大舞台で、軽快に駒を進めた。3回戦、相手の気迫を前にわずかに怯む。足を踏み出すのをためらった次の瞬間、タックルを決められ先制を許した。6分間の試合時間の中では、一瞬の遅れが命取りとなる。これまで順調に勝ち上がってきた河村に不安がよぎった。
しかし、ここで勢いにのまれるわけにはいかない。気持ちを切り替え、大きく息を吸い込んだ。相手の右足に狙いを定め、鋭い視線を向ける。構えの姿勢から足元に跳びかかった。バランスを崩した相手にすかさずタックル。激しく抵抗する相手の両肩を押さえつけ、戦い
を制した。4回戦は、強豪早大との対決。格上相手に攻めの姿勢を貫いたが、力及ばず判定により敗退した。
立大の若きエースが見せた快進撃。「自分は挑むだけだった」と悔いのない晴れやかな笑顔で語った。レスリング部にとって65年ぶりのインカレでのメダル獲得。世代を超えて歓喜に包まれた。

重ねた鍛錬

小学生の頃から当たり前に続けてきたレスリング。厳しい練習にも耐え抜いた。大学では、自由度の高い練習の中で、楽しみながら競技に向き合っている。
現在レスリング部の部員は8人。主将を中心に意見を出し合って練習メニューを決める。少人数だからこそのアットホームな雰囲気で、伸び伸びと成長できる環境。異なる階級の選手と積極的に練習を重ね、どんな相手にも対応するための技を磨いた。
重量級の中で群を抜いた素早さを誇る河村。「ありえない速さ」と主将・大澤(法4)も認める。一方で同階級では小柄な体格。力負けしないよう食事管理や趣味の筋トレで体作りに力を注いだ。圧倒的な瞬発力と攻撃を押し返す力。その成果は試合で存分に発揮された。
今後待ち受ける大会でも、再び表彰台に上ることを目指す。さらに、1部昇格を目標に掲げ、「チーム全体で強くなりたい」と意気込んだ。次なる栄光に向けて力強い一歩を踏み出した。

(佐藤みのり)

【レスリング部】相手選手を見つめ構える河村

【ヨット部】劇的帆走!29年ぶり全日本個人で谷・大熊・小河が6位入賞!3人で息を合わせて大奮闘。価値へのこだわりが実を結んだ、文句なしの大金星!

【ヨット部】 微風に乗る谷(文2)・大熊(文4)

【ヨット部】 微風に乗る谷(文2)・大熊(文4)

立大ヨット部が29年ぶりの全国入賞を成し遂げた! クルー・小河寛和(法3)と大熊友梨香(文4)、スキッパー・谷望(文2)で挑んだ大舞台。1度は目標達成が危ぶまれるも、最終日に怒涛の快進撃を見せた。歴史的快挙を達成した彼らの結成秘話とは。

風に勝つ

実感がないまま表彰式を迎えた。「信じられない」。 29年ぶりの全日本入賞。3人は驚きと喜びを胸に、賞状を受け取った。
全日本の舞台は愛知県の蒲郡。練習場がある神奈川県の海とは、風も波も異なる。いつも通りは通用しない。昨年の立大は30位。記録更新のため、目標を20位に定め、高い壁に挑んだ。
第2レースで既に総合20位。目標のため、これ以上順位は落とせなかった。正念場の第4レース、大熊と谷が得意とする微風が吹き始めた。好機を逃さずしなやかにスタートを切る。風を味方に、4位から2位へ追い上げた。
最終戦、風が強まった。小河が大熊からバトンを受け取る。スタートに勝負をかけた。しかし強豪校に競り負け、最後尾まで順位を落とす。「左で風が強まるはず」。 風は読めていた。強風を追い風に、10位まで順位を追い上げゴール。全日本総合6位に輝いた。

【ヨット部】 賞状を持つ選手たち

【ヨット部】 賞状を持つ選手たち

絆で勝つ

春から3人で戦ってきた。チーム歴は部内で一番長い。学年は違えど、何でも話せる仲だった。
全国への準備をしている中、監督から言い渡されたペア解消。団体戦に向けた戦力分散のためだった。3人はそれぞれ別の船に乗り、経験を積んだ。
予選は谷と小河で戦い、全国への出場権をつかんだ。「やっぱりあの3人で全国に行きたい」。 最初に声を上げたのは谷だった。2人の気持ちも同じ。蒲郡の海を制すには、3人のチームワークが必要だった。
一瞬の判断が結果を左右するヨット競技。船の上では彼らに言葉はいらない。「考えが感覚で分かっていた」。 互いに判断を感じ取り、呼吸を合わせる。技術向上に向け、話し合いを重ねた日々。言葉を超えた信頼関係を構築していった。「このチームだから勝てた」。 3人は笑顔で語った。
来年から大熊は卒業して社会へ。谷と小河は船に乗り続ける。「また全国に行きたい」。 谷と小河は蒲郡の風を目指し帆を進めていく。

(青木雛子)

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