【剣道部】2年目のコロナ禍で残したもの。4年生は立大の道場を去る。

 

「関東ベスト4入りします」。

昨年の幹部交代式での宣言が、現実のものとなった。

 

2021年9月19日、関東学生剣道優勝大会。

「1、2年の活躍が本当に大きかったです」。

こう語るのは主将の中嶋(社4)。部内戦の結果、チームのメンバー構成は1、2年生が中心に。3年生は2人、4年生は1人だった。

「3、4年生はチームの後ろの方で出ていたのですが、1、2年生がリードして良い形で回してくれたので、それに応える形で試合を進めるという、良いリズムで試合を進めることができました」。

3回戦、ここで帝京大に勝てば全日本の出場が決まる。敗者復活戦に行けば厳しい戦いが予想されることもあり、この試合は抑えたかった。2-2で迎えた代表戦は、相手による2度の場外反則でこちらのものに。この山場を制したことがチームの雰囲気を盛り上げ、続く試合も勢いをそのままに臨んだ。過去の関東大会で立大が大敗してきた明大・専大を突破。見事3位に輝いた。前回に立大が関東団体で3位をとったのは2017年、その時は52年ぶりの快挙であった。そして今年、4年越しに表彰台に返り咲いたのである。

関東大会に出場した選手たち

 

2021年度、立大剣道部の指揮を執ったのは中嶋。地元の道場でも、中学・高校の部活でも主将をつとめてきた中嶋は、大学でもその人柄がモチベーターとして期待され、部を任された。

昨年度は社会情勢がさらに厳しく、立大剣道部が出場した試合は一切無かった。稽古も、面をつけて行なったのは最後の約1か月。1度に活動が許される人数も限られていた。しかし当時の4年生たちは、厳しい制限を余儀なくされる中でも部活がある日はしっかりと盛り上げてくれた。

「試合が無くてもこうやって部活を引っ張ってくれるのが、本当にありがたいと思いました」。

先輩が剣道部に残してくれた明るい雰囲気を引き継いでいきたい。そんな思いで、主将としてのスタートを切った。

昨年に引き続き、未だコロナ禍が活動の足かせとなった。例年に比べ、部活内外での上級生と下級生の交流も少なかった。

「部活って、一部だけが仲よかったり、関わり深くやっても駄目だと思っていて。やはり全体としてある程度関係があったり、相手のことを知り合えてないと部として盛り上がっていかない気がします」。

全体での稽古ができない中でも、副主将の冨田(法4)・昆(法4)、田代(文4)をはじめとした同期たちの協力もあり、部活を活気づけることができた。

主将就任時、具体的な戦績としての目標も定めていた。さかのぼって2020年11月、新座キャンパスで幹部交代式が行われた。新主将として部員やOBたちに宣言したのが、関東団体ベスト4だった。

「自分たちの力や現状を考えた上で、ギリギリ達成できるかできないかのラインで考えたら関東ベスト4かなと思って。そのギリギリのラインは、自分たちの代で突破したいという気持ちがありました」。

かくして有言実行。

「もう引退しよっかなって、関東大会終わった時には思いました」と、おどける。

 

好成績で突破した関東大会だったが、1か月後の全日本大会では1回戦で散った。先鋒・次鋒と良い流れだったが、繋ぎきることができず別府大に敗れた。

全日本ではベスト16を目標にしていただけに、選手たちの顔には悔しさがにじむ。

久保田(法3)は、「もっと先輩と長く試合がしたかったです」と声を絞った。

しかしチームはほとんどが3年以下。来年の雪辱を誓った。

中嶋はこの日で引退。後輩たちに「自分たちのスタイルを崩さないでほしい」と願う。「実力以上の結果が今回関東では出たので、やっぱり周りからマークもされると思います。特に最近はYouTubeとかで剣道が上がり始めてるので、研究されて試合に臨むことが多くなるので、余計勝つのが難しくなります。でも、相手がこう対策してくるだろう、とかは考えず、シンプルに剣道を楽しんでほしいなと。そういう一心です」。

2021年10月31日の引継ぎ式にて、カメラに向かって笑顔を見せる4年生男子

 

来年度、立大剣道部の男子主将に立つのは久保田。強豪・東福岡高出身で剣道の技術も突出している久保田に、中嶋は期待を寄せる。「全体をまとめるのはすごい苦手な人間だと思うんですよ。でも、彼自身から溢れ出す、絡みやすそうなオーラみたいなものが、皆から受け入れてもらいやすいっていうところがあると思うので。前年とか、その2年前の先輩がこうしてたからこうしたいとかじゃなくて、自分の思うままに部を引っ張っていってほしいなと思います」。

2021年11月をもって、幹部学年が引き継がれた。来年度を担う部員たちは、新人戦などで早速成果を出し始めている。コロナ禍も終息の兆しを見せる中、彼らの姿は、新世代としての躍進を予感させる。

(12月20日・菅野真理香)

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