予選会後、カメラに笑顔を見せる選手たちと選手の保護者たち

【陸上競技部】「立教箱根駅伝2024」事業の道のり~男子駅伝クローズアップ企画②~

夢の箱根路へ出走なるか!?
1月2日から3日に行われる第97回東京箱根間往復大学駅伝競走に、中山凛斗(コ1=九州学院高・熊本)が関東学生連合の一員として選出された。もし出走すれば立大の選手が学生連合に選ばれるのは中村嘉孝(08年度卒、現陸上競技部女子駅伝監督)以来12大会ぶりの快挙となる。
連載企画2回目の今回は、「立教箱根駅伝2024」事業の軌跡を紹介する。


2024年に箱根路を目指すため。2018年12月1日、立大は元横浜DeNAランニングクラブ所属の上野裕一郎監督を迎えた。「立教箱根駅伝2024」事業始動から2年、立大はどのような軌跡をたどってきたのだろうか。
まずは上野裕一郎の選手としての実績について触れたい。彼の代名詞といえば『ごぼう抜き』。2007年大学3年次の第83回箱根駅伝で9人抜きを果たした。学生時代は駅伝だけでなく5000㍍で関東インカレ優勝、日本インカレ入賞。大学卒業後には日本選手権の1500㍍・5000㍍の2種目制覇を遂げ、世界陸上にも出場した。また、2017年の日本選手権の10000㍍で大迫傑(ナイキ)にあと2秒までに迫る激しい優勝争いを繰り広げたことは記憶に新しい。

練習中、選手と話す上野監督

練習中、選手と話す上野監督

監督が指導の上で意識していたことは「走る前と後で、練習の意味を話す」ことだ。選手に練習の意図を説明することでやる気の向上を図った。また、チーム分けを行って細かくメニューを組み立てることで、強い選手も弱い選手も平等に。上野監督就任後、練習で走る距離は以前よりも倍になり、夏合宿は一か月近い期間行った。以前より厳しい練習に変わったが、監督の選手一人一人に寄り添う指導が選手たちの意識を変えた。

そして迎えた事業開始1年目の箱根予選会。厳しい暑さに見舞われたが、立大は前年より5つ順位を上げる快挙を成し遂げた。強化指定選手がいない中で順位を上げることができたことは、上野監督の指導が実を結んだといえる。

予選会後、カメラに笑顔を見せる選手たちと選手の保護者たち

予選会後、カメラに笑顔を見せる選手たちと選手の保護者たち

「立教箱根駅伝2024」事業開始2年目の2020年3月1日、新たに「紫聖寮」が完成。寮が完成したことで強化は加速。寮が完成する前は朝練をすることは各自に任されていたが、チーム全体で朝練をすることができるようになった。
新たな環境に加え、上野監督が直々に勧誘した新入生もチームに加わった。『月間陸上競技 4月号』(講談社)に掲載された新人力ランキングでは10位、シード校を除くと4位。“強豪校に引けを取らない実力者たち”が集結した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月から6月末まで練習が出来ない期間が続いた。しかし夏合宿をみっちり3回行い、選手たちは着実に力を蓄え続けた。
そして迎えた事業が始動して2年目の箱根駅伝予選会。「総合19位以内」を目標に据え、満を持して挑んだ。しかし、フラットな周回コースに会場が変わった影響からか、序盤からハイペースに進んだ。結果として10位の専修大のタイムが昨年優勝の東京国際大よりも13分30秒早いという異例のハイスピードな予選会に。立大の順位は28位と、順位は落としてしまった。だがタイムは10時間54分12秒と昨年の記録を約30分縮め、選手たちは着実に力をつけていることを示した。
その中でも1番の活躍は中山だ。予選会でチーム内1位でゴールし、1時間3分台の好走。今回学生連合に選出された。上野監督が「安定感がある。長い距離でもある程度自分の得意としていない距離でも外してこない」と評価する中山。箱根駅伝での出走はあるか。箱根駅伝当日も目が離せない。

【男子駅伝クローズアップ企画】

 

(取材・編集/田川怜奈)

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