【軟式野球部】さらば陣川!己の去り際にせん別の一発

◆令和2年度秋季リーグ戦◆

10月27日 対慶大 小野路球場


8月末に開幕した秋季リーグ戦も遂に8戦目を迎えた。この試合をもって、以降3年生の活動参加は任意とされる。3年生全員を含めて戦うのはこれが最後だ。学生監督・陣川(済3)もチームを離れる筆頭にいた。授業はオンラインで行われ、日本全国どこでも受けることができる。そのため、地元・佐賀に帰り就職準備に徹する決意をした。2勝5敗と苦しい戦いが続く立大。陣川をはじめとする3年生と共に最後の白星をつかむことができるのだろうか。

学生監督を務める陣川(中央)

大一番には応援団も駆けつけた。「今日は本気」(3年リーダー部員)。その言葉通り、30名近くの応援団が来場した。今年は各部の試合の大半が無観客試合で行われ、神宮球場以外での唯一体育会応援であったという。

大声援を背にマウンドへ上がったのはエース・佐々木(済3)。初回から長打を2本浴び、立ち上がりを攻められ、先制を許した。首位を独走する慶大打線に捕まり、5回途中でマウンドを降りた。2番手の山田(営3)も勢いを止めることはできず、6回終了時点で8点ビハインドとなり、苦しい状況が続く。打線も慶大先発・廣瀬(3年)をなかなか攻略することができない。5回に金子(理2)が初安打を放つも得点には結びつかなかった。


2安打を放った金子

終盤、小俣(法3)の適時打で1点を返し、1−8で最終回へ。今日がラストゲームとなる陣川が一つのドラマを演出する。7回から守備固めで出場し、8番の打順についた。9回の攻撃は4番から始まるため、2人以上の出塁が無いと打席には立つことができない。先頭の成井(コ3)が凡退するも、5番・八方が安打を放つ。続く打者こそ凡退に倒れたものの、7番・小俣(法3)が死球を受け、陣川に笑みを見せて一塁へ向かう。巡り巡ってきた打席、最後の男は燃えていた。

初球をフルスイングでファウル。2球目を捉え、打球は左翼後方へ。「気づいたら入ってた」。全力で塁上を駆ける間に打球はスタンドへ刺さり、本塁打となった。最後の打席で見せた意地のリーグ戦初本塁打。自身の引き際に自ら花を添えた。この一打に対し、ベンチでは涙と笑みがあふれた。「みんなが打たせてくれた」。

「野球は楽しい」。陣川は3年間を振り返り、そう語った。高校時代の練習がつらく、一時は野球から離れようと思っていた。結果、ボールは違えど野球を続けることに。チーム事情から2年秋途中から采配を任されていた陣川。プレッシャーや緊張に押しつぶされ、眠れない夜もあった。苦しい瞬間も味わったが、最後は野球を続けてきてよかったと噛みしめた。リーグ戦は明大戦を残してあと残りわずか。明大に対しては18年春以降勝ち星を挙げることができていない。「歴史を塗り替えてほしい」。戦いを続けるチームにエールを送り、背番号44はグラウンドを去った。

最後の打席に立つ陣川

カメラを前に笑みを見せる3年生たち

(11月14日・渡邊大樹)

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