【準硬式野球部】柏瀬、早大戦にかける思い

秋季リーグ、早大戦に闘志を燃やす男がいる。柏瀬(コ2)は、今夏清瀬杯決勝で早大と対戦した時の最後の打者だった。日本一を目の前にしながら3点を追う9回二死一、二塁。柏瀬が放った球は大きな弧を描き、右翼手のグローブに吸い込まれた。「打てない気はしなかった。悔しい悔しい…」と人一倍の悔しさを胸に球場を出た。

常に野球に真剣だったからこそ、悔しかった。大学に入った時は、レベルの高さに足がすくんだ。それでも細身の身体を改造すべく筋トレやバッティングに打ち込む日々。そのかいあって1年生の秋から練習試合に出始めると、春のオープン戦では努力を認められ、キャプテンを務めた。「結果出したもん勝ち。少しのチャンスをものにしたかった」と話す。“目をつぶっても打てる”絶好調の打撃で、春リーグでは1番を任された。だが後半からは、謎の不調に悩まされる。「段々目線とフォームがずれだした」と気づいたのは、8月の終わり、清瀬杯決勝の前日だった。残りの夏休みで修正し、秋リーグ対東大3回戦から再びスタメン入り。ツーベースヒットや、武器の足を生かした盗塁でチームの得点に貢献した。「一本出て良かった」。表情が和らいだ。

柏瀬にとって同期の存在は大きい。フォームのずれを指摘したのも、今川(理2)だった。ともに練習後、残って自主練習をし、目についた点を意見し合う。中でもスタメン常連メンバー、今川、佐々木(社2)、松原(社2)の“バケモノ”たちに追いつきたいと、できることを必死に考えた。「早く同じステージに立ちたいし、あいつらに負けてちゃいけない」。活躍している同期が、柏瀬を奮い立たせる。

「生きるのに必死だった」。入部当初は投手としての役割を担うつもりだった。だが、立大の投手陣はそろっている。濱崎(コ4)や山村(文4)をはじめ、同期にも松原と泰道(社2)がいた。このままではベンチに入れないと考え、内野手に。しかしそこでも一ポジションを争う状況、さらにレギュラーには打撃も守備も手堅い選手ばかり。どうしよう。悩んだ末、当時の主将・三好(=17年度卒)に相談し、13年の野球人生で初の外野を選択した。「いろいろ発見があって面白い」と与えられたポジションを楽しむ。外野になって感じるのは、一球の重み。「最近はエラーしたら変えられると思って、死ぬ気で取ってます」と明るく話した。

スタメン入りのきっかけとなった対東大2回戦、球の行方を見守る柏瀬

自分と向き合い、考え、力をつけてレギュラーをつかみ取った。秋リーグ、次戦は因縁の相手、早大。「自分は清瀬杯決勝最後の打者で本当に悔しい思いをしたから、早大に圧勝したい」。そう話す目には、熱い炎が燃えていた。自分の手で必ず勝ちたい。対戦の日を見すえて、最終調整に入る。(10月4日 南はるか)

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